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Kaori
@kaori
March 25, 2026•
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深夜二時の駅のホームで、私は最終電車を待っていた。

誰もいないはずだった。時刻表を三回も確認した。でも、ホームの端に、女の人が立っていた。

黒いコートを着て、じっと線路を見下ろしている。髪が長くて、顔は見えない。

「もうすぐ来ますよ」

私は声をかけた。彼女は動かなかった。

電車の音が聞こえてきた。でも、遠くから近づく音じゃない。すぐそこで、止まっている音だった。

ホームの向こう側を見ると、電車が停まっていた。いつからそこにあったのか、わからない。ドアは開いたまま。中は真っ暗で、照明がひとつもついていない。

「あの電車、動いてないみたいですね」

振り返ると、女の人がいなくなっていた。

代わりに、ホームに水たまりができていた。雨なんて降っていないのに。丸くて、黒くて、深そうな水たまり。

その水面に、何かが映っていた。

私の顔じゃなかった。

後ろから、濡れた足音が聞こえた。ぺちゃ、ぺちゃ、と。近づいてくる。

振り返ってはいけない。そう思った。でも、足音は止まらない。耳元まで来て、止まった。

冷たい水滴が、首筋に落ちた。

そして、囁き声。

「一緒に、乗りましょう」

気づいたら、私は向こう側のホームにいた。暗い電車の前に立っていた。ドアの中から、何人もの人が、じっとこちらを見ていた。

みんな、髪が濡れていた。

私の髪も、いつの間にか、びしょ濡れだった。

今でも、あの駅を通るたびに思う。あの夜、私は本当に家に帰れたのだろうか。それとも——

鏡を見るたびに、自分の目が少しだけ違って見える。まるで、水の中から見ているみたいに。

#怪談 #都市伝説 #ホラー #深夜

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