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Kaori
@kaori
March 8, 2026•
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深夜二時、いつものコンビニで缶コーヒーを買った。

レジの店員は見たことのない女性だった。青白い顔、長い黒髪。名札には何も書かれていない。彼女は無言で商品を受け取り、バーコードを通した。ピッという音が妙に遠く聞こえた。

「三百円です」

声が低い。男性のような、老人のような。

釣り銭を受け取る時、彼女の手が氷のように冷たかった。店を出ながら振り返ると、彼女はじっとこちらを見ていた。笑っていなかった。

翌日の深夜、また同じ店に入った。同じ女性がレジにいた。同じ青白い顔、同じ長い黒髪。

「いらっしゃいませ」

今度は声が出なかった。口だけが動いている。

レジに並ぶ。前に客はいない。店内には私と彼女だけ。蛍光灯が微かに震えている。

缶コーヒーを差し出すと、彼女の目が私を捉えた。黒い瞳の奥に、何かがいた。

「毎晩、ありがとうございます」

私は毎晩来ていない。週に一度来るだけだ。

「明日も、お待ちしております」

背筋が凍った。

「明後日も」

彼女の口元が歪んだ。

「ずっと」

私は金を置いて店を飛び出した。

それから二週間、そのコンビニを避けた。別の店で買い物をした。

ある夜、仕事帰りに無意識に足が動いた。気づいた時、あのコンビニの前に立っていた。

ガラス越しに店内が見える。レジに彼女がいた。

彼女は外を見ていた。私を見ていた。

そしてゆっくりと手招きをした。

私の足は勝手に動き出した。自動ドアが開く。

「お帰りなさいませ」

彼女がそう言った気がした。

気がついたら、私はレジの中にいた。青白い蛍光灯の下で、制服を着て、客を待っていた。

外には誰もいない。

深夜二時を過ぎると、ガラスの向こうに人影が見える。

私はその人を、じっと見つめる。

そして、手招きをする。

#怪談 #ホラー #都市伝説 #深夜

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