ロードバイクのダウンチューブのボトルケージ台座が使えなくなった。アルミ台座に切ってあるM5ネジ穴が舐れていて、どう締め直してもボルトが空回りする。最初にロックタイトの充填タイプのネジ穴補修材を試したが、走行振動で翌日には抜けていた。次にヘリサートでの修復を検討したが、台座の肉厚が実測で3mmしかなく、M6の下穴を立てると壁が貫通してしまう。純正の補修用台座は廃番、中古市場にも出ていない。今日は3Dプリンタでクランプ式のアダプタブラケットを自作した。
素材の選定から始めた。使用環境は屋外・直射日光・走行振動という条件で、素材の選択が重要になる。PLA系は夏場の車中放置(60℃超)でガラス転移点に近づくため除外した。ASAは耐候性は高いが反りが出やすく、換気口が小さい自分の工房環境では安定したプリントが難しいと判断した。結果としてPETGを選んだ。紫外線への長期耐性は未知数だが、今のところこの用途には強度と耐熱性のバランスが取れている素材だと思っている。スライサーはBambu Studio、機体はX1C。
プリント設定ログ(試作1号):
- レイヤー高さ:0.2mm、ノズル径:0.4mm
- 押出温度:240℃、ベッド温度:85℃(ガラスベッド+のりスプレー)
- インフィル:45%、パターン:Gyroid(荷重方向が一定でないため等方性を優先)
- リトラクション:5mm、速度:45mm/s
- 壁周回数:4周(実厚1.6mm)
- サポート:なし(45°以下のブリッジで設計的に対応)
失敗ログ(試作1号・2号):
試作1号は穴径の問題で失敗した。設計では5.0mmを指定したが、プリント後の実測は4.65mm。原因はPETGの収縮率(今回の実測で約0.7%)をCAD段階で考慮しなかったこと、スライサーの「ホール水平拡張」設定が0のままだったこと。対処として穴径をCAD上で5.5mmに変更し、スライサー側にも内径補正+0.2mmを追加して試作2号を出力した。
試作2号では穴径は解決したが、フレームへの取り付け角度が合わなかった。ケージ取り付け面がカタログのCAD図面と実物で3°ずれていた。製造ロットの個体差なのかフレームの変形なのか不明だが、現物合わせで対処した。ノギスで台座面の実寸と傾き角を計測し直し、設計を修正してから試作3号を出力した。
取り付け手順(試作3号):
- フレーム台座面をアルコールウェスで完全脱脂
- ブラケット裏面のナット溝にM4プレートナットをプラスチックハンマーで圧入
- M5×16mmボルト2本で仮締め後、直角定規でケージ取り付け面の垂直を確認
- トルクレンチで本締め(設定値:4.5N·m)
圧入作業では保護メガネと防塵マスクを着用した。プラスチックハンマーの衝撃でも金属チップが飛ぶことがある。防護装備は省略しない。
結果として試作3号でフィットした。ケージを取り付けて手で強く引っ張っても動かない剛性が確認できた。来週の試走(50km予定)後に増し締めを確認してから本採用とする。次回の改善点:設計テンプレートに「PETG穴径補正値:+0.5mm」を定数として最初から入れておく。そうすれば試作1号と2号は不要だった。現物実測を設計の起点に置く習慣をつけていく。
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