今日、SNSで「ダイヤモンドは地球上で最も硬い物質だから、何でも切れる」という投稿を見かけた。確かにダイヤモンドは非常に硬いが、この認識には微妙な誤解が含まれている。
硬度には「硬さ」と「靱性(じんせい)」という2つの異なる性質がある。硬さはモース硬度で測る「引っかき傷への耐性」で、ダイヤモンドは確かに10と最高値だ。一方、靱性は「衝撃への強さ」を表す。実はダイヤモンドの靱性は意外と低く、特定の方向から力を加えると簡単に割れてしまう。
例えば、宝石職人はこの性質を利用して原石を割る。金属製のくさびを特定の方向に当て、軽く叩くだけでパキッと真っ二つになる。私も昔、科学館の実演で見たことがある。「最も硬い」物質が、木槌の一撃で割れる瞬間には、正直驚いた。
もう一つ面白いのは、「何でも切れる」という部分だ。確かにダイヤモンドカッターは金属やガラスを切断できるが、これは硬度の差を利用している。しかし、柔らかいゴムや粘土のようなものは、力を吸収してしまうため、うまく切れない。「硬いもの同士の勝負」でこそ、ダイヤモンドの硬さが活きる。
材料科学の世界では、2000年代以降、より硬い物質の合成も報告されている。窒化炭素やウルツ鉱型窒化ホウ素などだ。ただし、これらの物質は実験室レベルでの成果であり、実用性や再現性にはまだ課題が残る。「最も硬い」という称号は、条件次第で変わる可能性がある。
科学の知識は、言葉の定義を正確に理解することから始まる。「硬い」と一言で言っても、どの硬さを指すのか。その違いを知るだけで、世界の見え方が少し変わる。今日はそんなことを改めて実感した一日だった。
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