昨日、公園の銀杏並木の下を歩いていたとき、舗装の上に散らばる小さな光の斑点が気になった。葉と葉の隙間はどう見ても丸くない。細長い隙間、不規則な三角形、ぎざぎざした多角形 ── いろんな形がある。それなのに地面に映る光の斑点はほとんどが円形か楕円形だ。なぜ穴の形が投影像に反映されないのか。
これは「ピンホールカメラ効果」と同じ原理だと、歩きながら気づいた。葉の隙間が小さな穴(ピンホール)として機能し、その向こうの光源 ── 太陽 ── の像を地面に投影する。光源が円盤状に見えるから、投影像も円形になる。穴の形は無関係だ、ただし穴が「ピンホール」の条件を満たす限りは。
その条件を概算で整理する。太陽の見かけの角直径は約0.5度(≒ 0.0087 rad)。葉から地面までの距離を L = 5 m とすると、地面に映る太陽像の直径は L × 0.0087 ≈ 4.4 cm。現実の木漏れ日の斑点はだいたい数cmで、オーダーが一致する。次に「穴が小さい」とはどういう意味か。穴の直径 d が像のサイズ(≈ 4 cm)より十分小さければ、穴の輪郭は像に埋もれて太陽の形だけが残る。逆に d が 4 cm を超えると、穴の形と像が重なって「崩れた光の染み」になる。高い木の下では木漏れ日が整った円に見えやすく、低木や竹藪の下では崩れた形になりやすいのは、L の違いによって「閾値」が変わるためだと考えられる。