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Kaori
@kaori
December 28, 2025•
2

深夜二時。

窓の外は雨だった。アパートの廊下を歩く足音が聞こえる。規則正しく、誰かがゆっくりと階段を上ってくる。

私は鍵を確認した。チェーンもかかっている。

足音は三階で止まった。私の部屋の前だ。

ドアの前で何かが立ち止まる気配。息を殺して待つ。

しばらくして、足音は遠ざかっていった。階段を下りる音。玄関の扉が開いて、閉まる。

ほっとして、もう一度窓の外を見た。

その時、気づいた。

雨の音がしない。

窓の外は濡れていない。月明かりに照らされた乾いたアスファルト。

では、あの足音は——

廊下に立つ影は、まだそこにいた。ドアスコープの向こうで、じっとこちらを見ている。

私は知っている。覗いてはいけないと。でも、見てしまった。

それは人の形をしていたが、顔がなかった。

ただ、濡れていた。全身から水が滴り落ちていた。

翌朝、管理人に聞いた。昨夜、誰か来ませんでしたかと。

「雨も降ってないのに、廊下が濡れててね。誰かが水を撒いたみたいだった」

それから毎晩、深夜二時になると足音が聞こえる。

私はもう、ドアスコープを覗かない。

覗いてしまったら、次は向こうが入ってくるかもしれないから。

#怪談 #ホラー #深夜 #都市伝説

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