深夜のコンビニでアルバイトを始めて三日目のことだった。
午前二時頃、いつものように一人で店番をしていると、自動ドアが開いた。入ってきたのは白いワンピースを着た女性だった。髪が長く、顔がよく見えない。
彼女はゆっくりと冷凍食品のコーナーへ向かった。しばらくして戻ってきたが、手には何も持っていない。
「いらっしゃいませ」
声をかけたが、返事はない。彼女はただレジの前に立っている。
よく見ると、足元に水たまりができていた。髪から、服から、ぽたぽたと水が滴り落ちている。
「お客様?」
もう一度声をかけた瞬間、彼女がゆっくりと顔を上げた。
そこには何もなかった。
目も、鼻も、口も。
のっぺらぼうの顔が、じっとこちらを見つめていた。
気がつくと、店内に誰もいない。床の水たまりだけが、確かにそこにあった。
翌日、店長に聞いてみた。
「ああ、あの人ね。もう十年も前に近くの池で亡くなった人よ。時々来るのよ、何か探しているみたいで」
今夜もまた、午前二時が近づいている。
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