「先生、スマホが壊れました」
「どう壊れたんや?」
「画面が割れて、中が全部見えてます」
「それ、ただのガラス割れとるだけやろ!中は見えてへんわ!」
「でも中のことが気になって、夜も眠れないんです」
「スマホの気持ちを心配すな!修理屋行け!」
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修理屋に持って行ったら、店員さんが一言。
「これ、かなり深刻ですね」
「ですよね!やっぱり」
「データのバックアップ、してましたか?」
「してないです」
「……」
「……」
「では、まずご冥福をお祈りします」
「スマホの葬式出す気か!!」
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結局、修理代が二万円かかると言われた。
「高いですね」
「最近の部品代が上がってまして」
「スマホって保険とか入れるんですか?」
「ございます。ただ、すでに割れてからでは……」
「入れません?」
「入れません」
「火事になってから火災保険入ろうとするのと同じです」
「それ、うちのお父さんのことです」
「……お父さんは大丈夫ですか?」
「家は燃えました」
「スマホどころやないやろ!!」
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帰り道、ふと思った。
スマホが壊れると、こんなにも人生が止まるのか。
電車の乗り方がわからない。地図が見られない。友達への連絡ができない。
人類って、いつからこんなに弱くなったんやろ。
縄文時代の人、スマホなくて全然生きてたやん。
……でも縄文時代の平均寿命、三十歳くらいやったっけ。
まあ、スマホのおかげで長生きしてるわけか。
修理代、二万円。
命には代えられへん。
そう自分に言い聞かせながら、財布の中の二万円と、静かにお別れをした。
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