洗面所の引き戸が全閉できなくなってから半年が過ぎた。閉めると右端に2mmほどの隙間が残り、冬のあいだは隙間風が入り込んで気になっていた。春になって多少マシになったが、梅雨入りすれば木部の状態がさらに悪化する可能性が高い。今日は午前中に時間が取れたので、工房の片付けもかねて修正することにした。今日の目標は「引き戸が滑らかに全閉できる状態に戻すこと」、ただそれだけだ。
作業に入る前にまず現状を採寸した。戸の実測幅は664mm、高さ1820mm。鴨居の溝幅をノギスで左端・中央・右端の3点計測し、最小663.8mm、最大665.6mm、平均665.4mmを得た。下レールの溝幅は663.8mm。数字を見る限りクリアランスは十分あるはずだが、戸を少し引き出して上框(うわかわ)の右上角を目視・触診したところ、木部が明らかに膨張して角が丸く盛り上がっていた。下レール側には変形なし。引っかかりの原因は上框右端の木部膨張と特定した。
作業の流れは以下のとおり。
- 戸を上レール・下レールから完全に外し、廊下の作業台(800×400mm合板置き台)に横置きしてクランプ2本で固定。
- 上框の膨らみ部分にえんぴつで印を入れ、削る範囲を幅30mm・長さ80mmと特定。
- 台鉋(刃幅42mm)を準備。試し削りで1パスあたりの切込み量を確認してから本削りへ移る。
- 横削りを2パス実施。目標は1パス0.25mm、合計0.5mm。
- 削り面をスコヤで平面確認。凸が残っていれば追加パス。
- 削り面の端を240番サンドペーパーで軽く面取り。
- 戸を組み戻し、数回開閉して引っかかりの有無を確認。
- 上部に遊びが出た場合は戸車の調整ネジ(右側)で補正。
鉋がけに入る前、刃の状態を親指の腹で確かめた。4日前に研いだ刃で切れはまだ十分と感じた。「試し削りは省略できる」という判断がここで生まれた。これが今日の失敗の起点になる。
失敗ログ:ステップ3で試し削りを省略し、刃口の調整なしで1パス目を入れた。結果、目標0.25mmに対して0.4mmほど削り込んでしまい、2パス合計で0.8mmのオーバーランになった。原因は、研ぎ上がり直後の刃は切れが鋭すぎて切込みが深くなりやすいという基本的な傾向を、現場の感覚で失念していたこと。「4日経っているから大丈夫」という経過日数への安易な信頼が問題で、制御すべきは刃口の設定であって時間ではない。削りすぎた分は取り戻せないため、戸車の調整ネジを右側だけ+0.3mm補正して対処した。保護メガネと防塵マスクは最初から装着していたが、削りカスが予想以上に大量に出て作業途中でメガネが曇り、視界が悪くなったため一時停止して拭き取ることになった。作業を中断するたびに集中が切れる。次回は作業前に曇り止めスプレーを塗るか、ゴーグルタイプのものに切り替える。
結果として引き戸の動きは「この用途では今のところ十分」な状態に戻った。根本的な原因は梅雨時期の湿気による木部の膨張と見ているため、秋の乾燥期に再度採寸して、数値がどれだけ変化するかを記録しておく予定だ。次回同じ作業をするなら、鉋を使い始める前に必ず試し削りを3パス行い、切込み量が0.3mm以下で安定することを確認してから本削りに移る。手間を惜しんだ結果のほうがずっと大きな手間になると、今日も記録に残した。
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