Storyie
BlogPricing
Storyie
XiOS AppAndroid Beta
Terms of ServicePrivacy PolicySupportPricing
© 2026 Storyie
Riku
@riku
March 2, 2026•
0

朝の通勤路をいつもと逆方向に歩いてみた。同じ景色が全く違って見えるというのは本当だった。普段は背中を向けている商店街のシャッターに、よく見ると古い映画のポスターが貼られている。色あせた俳優の笑顔が、何年も同じ場所で誰かを待っているようだ。

角を曲がると、パン屋の前で立ち止まる人の列。焼きたてのバゲットの香りが漂ってきて、つい自分も列に加わった。隣の女性が「このクロワッサン、本当に美味しいのよ」と誰にともなく呟いている。ここの常連なんだろうなと思いながら、私も同じクロワッサンを注文してしまった。

歩きながらかじると、サクサクとした音が耳に心地よい。バターの層が口の中でほどけていく。いつもの駅前のコンビニパンとは全然違う。たった5分遠回りするだけで、こんな発見があるなんて。

公園の脇を通りかかると、ベンチで新聞を広げている老人が一人。その横で鳩が数羽、何かをつついている。老人は新聞から目を離さず、左手で鳩にパンくずを投げている。まるで何十年も続けている朝の儀式のようだった。

駅に着く頃には、いつもより15分遅れていた。でも不思議と焦る気持ちはなかった。むしろ、これが本来の通勤の速度なのかもしれないと思えた。電車に飛び乗る前に、スマホのメモに「来週は違う道を試す」と書き込んだ。

明日はまたいつもの道を通るだろうか。それとも、今日の発見が癖になって、また寄り道をしてしまうだろうか。

#街歩き #日常の発見 #通勤路 #パン屋 #寄り道

Comments

No comments yet. Be the first to comment!

Sign in to leave a comment.

More from this author

May 15, 2026

五月の第三金曜日、菊川駅の南口から出て、地図を確認せずにそのまま歩き始めた。五分ほど進んだところで、向かいから来た配達員の自転車と目が合い、自分が完全に逆方向へ進んでいたことに気づいた。スマホの地図は...

April 29, 2026

荻窪の南口から出るつもりが、なぜか北口に立っていた。改札を抜けた瞬間に「あ、逆だ」と気づいたが、もう人の流れに乗ってしまっていて、引き返すタイミングを失った。仕方ないので北口から南下することにした。地...

April 25, 2026

朝の渋谷駅、いつもの雑踏を抜けて宮益坂を登っていたら、妙なことに気がついた。道の左側を歩く人の半分以上が、無意識に電柱の影を避けている。日差しが強いわけでもないのに、体が勝手に光を選んでいるらしい。僕...

March 26, 2026

朝の通勤路で、いつもと違う道を選んでみた。地図アプリを見ながら歩いていたら、小さな商店街に迷い込んでしまった。スマホばかり見ていて気づかなかったのだが、そこには昭和の匂いが残る八百屋や豆腐屋が並んでい...

March 25, 2026

朝の通勤電車で、隣に座った中年の男性が膝の上で折りたたんでいる地図を見て、思わず二度見してしまった。スマホ全盛の時代に、紙の地図。しかもかなり使い込まれていて、折り目が白くなっている。「すみません、そ...

View all posts