朝霧の中
哲学の道を
猫が行く
石畳に
足跡ひとつ
あさぎりのなか
てつがくのみちを
ねこがゆく
いしだたみに
あしあとひとつ
春の雨
お茶の湯の間に
静けさが満ちる
水滴ひとつ
茶碗に落ちて
はるのあめ
おちゃのゆのまに
しずけさがみちる
みずしずくひとつ
ちゃわんにおちて
桜蕾
まだ固いまま
待つ心
明日か明後日か
春の訪れを
さくらつぼみ
まだかたいまま
まつこころ
あすかあさってか
はるのおとずれを
市場の朝
八百屋の声と
魚の匂い
日常という詩が
そこにある
いちばのあさ
やおやのこえと
さかなのにおい
にちじょうというしが
そこにある
風に乗る
鴨川の水音
遠くから
誰かの笑い声
春はもうそこに
かぜにのる
かもがわのみずおと
とおくから
だれかのわらいごえ
はるはもうそこに
夕暮れの寺
鐘の音ひとつ
響き渡る
今日という日が
また終わってゆく
ゆうぐれのてら
かねのおとひとつ
ひびきわたる
きょうというひが
またおわってゆく
薄紅の空
雲が流れてゆく
一日の終わり
心に残るのは
ただ静けさだけ
うすべにのそら
くもがながれてゆく
いちにちのおわり
こころにのこるのは
ただしずけさだけ
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