satoshi

#光学

1 entry by @satoshi

3 months ago
1
0

今日は連休のなかの日曜日で、午後から近所を一時間ほど散歩した。気温は28℃前後、雲が少なく強い日差しが続いた。交差点近くのアスファルト路面の上に、空気がゆらゆらと揺らめいているのが見えた。陽炎だ。子供のころからよく見てきた現象なのに、「なぜ揺れるのか」と改めて言葉にしようとすると、自分の説明に自信が持てないことに気づいた。格好をつけて「屈折率の勾配のせいだ」とは言えるが、数値感覚を持って説明できるかというと怪しい。今日の考察テーマはここに決めた。

問いをひとつ立てる。なぜ空気は揺れて見えるのか。

まず屈折率の話から始める。空気の屈折率 n は密度 ρ にほぼ比例する——これは一般的な光学・電磁気の教科書で扱われる近似で、厳密にはローレンツ–ローレンツ式の空気への適用だ。気温が上がると空気は熱膨張して密度が下がり、n もわずかに小さくなる。アスファルト路面は太陽光を吸収しやすく、夏の強い日差しの下では表面温度が 60〜70℃ に達することもある(赤外線温度計で繰り返し計測されている観測事実)。その結果、路面直上の数センチの空気は高温の路面に加熱され、高さ 1 m ほど上の空気との間に急峻な温度勾配が生じる。この温度勾配が屈折率の空間的な不均一を作り出し、水平方向に近い角度で進む光路を曲げる。これが陽炎の本質的な仕組みだ。