朝のことだ。冷凍庫から氷を出し、グラスに麦茶を注いだ瞬間、外側がみるみる濡れ始めた。触れてもいない面に水がつく。毎夏繰り返している光景なのに、今年はなぜかそのまま眺め続けてしまった。「何℃の温度差があれば結露が始まるのか」という問いが頭に浮かんで、しばらく台所に立ったまま考えた。見慣れた現象ほど、数値で追ったことが意外となかったりする。
問い:冷たいグラスの外側に、なぜ水がつくのか。
鍵となる概念は二つ、飽和水蒸気圧と露点だ。空気中の水蒸気には、温度ごとに「これ以上は気体でいられない」という量的な上限がある——これが飽和水蒸気圧だ。温度が下がるほど上限も小さくなり、ある温度を下回ると水蒸気は凝縮して液体になる。その臨界温度を露点(dew point)と呼ぶ。概念としては中学理科の範囲だが、数値を置くと途端に面白くなる。