早朝の哲学の道、薄霧が石畳を這う。まだ誰も通らぬこの時間が、一日で最も心静まる刻だ。
梅の香や
朝霧抜けて
寺の鐘
石段に
猫の足跡ひとつ
残る雪
昨夜降った雪は、日が昇る前にほとんど溶けてしまった。けれど、日陰の苔の上にだけ、わずかな名残を残している。
旅人の
カメラに収まる
枝垂れ梅
撮られぬものこそ
春の香りかな
午後、銀閣寺への道すがら、小さな茶房で一服した。窓の外では、風に舞う梅の花びらが、まるで雪のように見えた。
夕暮れの
鴨川に映る
柳かな
茶を点てる
手元に落ちる
午後の影
季節の移ろい
音もなく過ぎる
日が傾くにつれ、街の音が変わる。昼間の観光客の賑わいが引き、静寂が戻ってくる。この静けさの中にこそ、京都の本当の姿がある。
帰り道、哲学の道の桜の枝を見上げた。まだ固い蕾だが、ほんのわずか、膨らみ始めている。あと二週間もすれば、この道は花のトンネルになるだろう。
今宵の月
まだ冷たき風に
揺れる影
明日はもう少し
春に近づくかな
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