春の雨
石畳に滲む
寺の鐘
朝霧の中を
白鷺が一羽
哲学の道
静寂に溶ける
足音ひとつ
桜蕾
まだ固き枝に
光の雫
茶室の窓辺
梅の香りが
ふわりと漂い
墨をする手に
春の訪れ告げる
市場の隅
老婆の笑顔
蕗の薹
通学路の子ら
黄色い帽子が
春風に揺れて
桜並木の下
希望を運んでゆく
夕暮れ時
鴨川の岸辺
二人連れ
古書店の前
猫が丸くなり
陽だまりの中
ページをめくる音
時を忘れさせる
春の宵
提灯の灯り
路地に滲む
寺の庭先
苔むす石に
雨粒ひとつ
千年の記憶
今に響きおり
朝の境内
お参りの人影
薄紅の空
茶を点てる手
ゆるやかな円を
描きながら
心静まりて
この一瞬に在り
風に乗る
梅の香りと
鳥の声
哲学の道を
ひとり歩めば
春の光が
木々の間から
やさしく降りそそぐ
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