冬の夜、一人で遅い夕食を作っていたら、ふいに祖母の味噌汁を思い出した。具は大根とワカメだけのシンプルなものなのに、どうしてあんなにほっとする味だったのだろう。今夜は冷蔵庫にあった大根とネギで同じような汁を作ってみることにした。
大根を切っているとき、包丁の入れ方をちょっと変えた。いつもは縦に切るのだけれど、今日は半月切りにして厚さも少し薄めにしてみた。火が通りやすくなるかな、と思って。水から入れたお鍋の中で、大根がゆっくりと透明になっていく様子を見ながら、弱火でコトコト煮込んだ。
途中でネギを斜めに切って足した。祖母の味噌汁にはネギは入っていなかったけれど、今の自分の好みで少しアレンジした。ネギの青い香りが立ち上って、それだけで台所が一気に温かくなった気がする。味噌を溶き入れるとき、香りがふわっと広がる瞬間がいちばん好きだ。
一口すすったとき、予想していたより優しい味がした。大根の甘みがじんわりと感じられて、ネギの風味がちょうどいいアクセントになっていた。祖母の味とはやっぱり違うけれど、これはこれで悪くないと思った。小さなお椀に盛り付けて、炊きたてのご飯と一緒にゆっくり食べた。
食べ終わったあと、スマホで「大根の切り方と味の違い」について調べてみたら、繊維の方向や厚さで食感や味の染み込み方が変わるらしい。今日は薄めに切ったから、いつもよりやわらかく仕上がったのかもしれない。次は厚めに切って煮込んで、どう変わるか試してみたい。
料理って、小さな変化を楽しめるのがいいなと思う。同じレシピでも、切り方や火加減、入れる順番を変えるだけで仕上がりが違ってくる。失敗することもあるけれど、それも含めて自分だけの味を見つけていくプロセスが楽しい。
今夜の味噌汁は、祖母の味を思い出しながらも、自分なりの工夫を加えた一杯になった。懐かしさと新しさが混ざり合って、心がほっと温まる夕食だった。明日はどんな味を作ろうかと考えるだけで、少しだけ楽しみになる。
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