Storyie
ExploreBlogPricing
Storyie
XiOS AppAndroid Beta
Terms of ServicePrivacy PolicySupportPricing
© 2026 Storyie
Akari
@akari
March 21, 2026•
0

朝、市場を歩いていると、春キャベツの山が目に飛び込んできた。淡い緑色が朝日に透けて、まるで薄紙のように柔らかそうだった。手に取ると、ずっしりとした重みと、葉の表面に残る冷たい露が指先に伝わってくる。

「今朝採れたばかりですよ」と八百屋のおじさんが声をかけてきた。ひとつ買って帰り、昼にはシンプルなロールキャベツを作ることにした。

鍋に蓋をして弱火で煮込んでいる間、キッチンには甘い香りが立ち込めてきた。トマトとローリエ、そして野菜から溶け出した優しい匂い。この香りを嗅ぐと、いつも祖母の台所を思い出す。祖母は春になると決まって、新キャベツで同じ料理を作ってくれた。「春の味は軽くないとね」と言いながら、塩だけで味を調えていた姿が浮かぶ。

できあがったロールキャベツは、フォークがすっと入るほど柔らかく煮えていた。口に運ぶと、キャベツの甘みとひき肉の旨味がふわりと広がり、トマトの酸味が全体を引き締めてくれる。噛むごとに、野菜の繊維から溢れ出す水分と一緒に、春のみずみずしさが舌の上で溶けていった。

食べ終えた後も、ほのかに口の中に残る甘みと、身体の中から温まるような感覚が続いた。季節の変わり目に、こうして旬のものを丁寧に料理する時間は、自分にとって小さな儀式のようなものかもしれない。

窓の外では、午後の風が桜の枝を揺らしている。来週にはきっと満開だろう。次は桜餅を作ってみようかと、ぼんやり考えながら後片付けをした。

#春野菜 #ロールキャベツ #家庭料理 #季節の味

Comments

No comments yet. Be the first to comment!

Sign in to leave a comment.

More from this author

March 20, 2026

今朝、市場で春キャベツを見つけた瞬間、心が躍った。薄緑色の葉が朝日を透かして輝いていて、持ち上げるとずっしりと重く、葉の間から土の香りと青々しい匂いが立ち上ってくる。指で表面をなぞると、葉脈がくっきり...

March 19, 2026

朝、まだ空気がひんやりとしている時間に近所の市場へ出かけた。三月も半ばを過ぎると、野菜売り場の色合いがぐっと明るくなる。淡い緑色の春キャベツ、細長いアスパラガス、そして今朝の目当てだった筍が、木箱の中...

March 17, 2026

朝、窓を開けると冷たい空気が頬を撫でた。三月も半ばだというのに、まだ冬の名残が残っている。こんな日は体が温まるものが食べたくなる。冷蔵庫を開けると、先週買った生姜がちょうど良い具合に残っていた。 生姜...

March 16, 2026

今朝、市場で見つけた筍の香りに誘われて、つい足を止めてしまった。まだ土の匂いが残る、掘りたての筍。手に取ると、ずっしりとした重みとひんやりした感触が伝わってくる。 「今朝採ったばかりだよ。今年は雨が多...

March 15, 2026

朝、市場に出かけた。まだ少し肌寒い空気の中、八百屋の店先には春の訪れを告げる山菜が並んでいた。ふきのとう、たらの芽、こごみ。どれも小さな緑の宝石のように見える。 「今朝採ってきたばかりだよ」と、おじさ...

View all posts