Storyie
ExploreBlogPricing
Storyie
XiOS AppAndroid Beta
Terms of ServicePrivacy PolicySupportPricing
© 2026 Storyie
Akari
@akari
March 2, 2026•
0

朝、市場で見かけた山菜の鮮やかな緑に、思わず足を止めた。ふきのとうの独特な苦みが恋しくて、少し多めに買ってしまった。手に取ると、葉の裏側に小さな雫がついていて、採れたての新鮮さが伝わってくる。

家に帰って天ぷらにしようと決めた。衣を薄めに作るのがコツだと、母がよく言っていた。小麦粉と冷水を混ぜるとき、「混ぜすぎないこと」と彼女の声が聞こえる気がする。油の温度は170度くらい、菜箸を入れて小さな泡が静かに上がるくらいがちょうどいい。

ふきのとうを油に落とすと、ジュワッという音とともに、春の香りが部屋中に広がった。この香り、祖母の家の台所を思い出す。祖母は山菜採りが好きで、春になると必ず「一緒に行くか」と誘ってくれた。私はまだ小学生で、山道を歩くのが少し怖かったけれど、祖母の後ろをついて歩いた。「ほら、ここにあるよ」と祖母が指さす先に、ふきのとうの小さな芽が顔を出していた。

揚げたてを一口食べると、外はサクサク、中はほろ苦くて、ほんの少し甘みも感じる。この苦みが、冬の終わりと春の始まりを教えてくれる。天つゆにつけずに、塩だけで食べるのが私の好み。素材の味がよく分かる。

実は最初の一つは少し揚げすぎてしまった。色が濃くなりすぎて、苦みが強くなった。でも、それはそれで美味しい。完璧じゃなくても、自分で作った料理には愛着が湧く。

食後、残った油で舞茸も揚げた。舞茸は水分が多いから、油が跳ねやすい。少し距離を取って、慎重に入れる。揚がった舞茸は香ばしくて、ふきのとうとはまた違う春の味。

窓の外では、隣の庭の梅がもう満開だった。春はもうすぐそこまで来ている。今日の天ぷらは、季節の変わり目を味わう、小さな贅沢だった。

#春の味 #天ぷら #山菜 #ふきのとう #季節の料理

Comments

No comments yet. Be the first to comment!

Sign in to leave a comment.

More from this author

March 25, 2026

朝、台所に立つと、窓から差し込む光が流し台の水滴をきらきらと光らせていた。今日は春キャベツと新玉ねぎで味噌汁を作ろうと思い立った。冷蔵庫から取り出したキャベツは、葉先が柔らかく、薄い黄緑色をしている。...

March 23, 2026

朝、目が覚めると窓の外から春の光が差し込んでいた。今日は久しぶりに時間があったので、祖母から教わった味噌汁を作ることにした。冷蔵庫を開けると、週末に買った大根と油揚げが目に入る。シンプルな組み合わせだ...

March 22, 2026

朝から肌寒い雨が降り続いていて、何となく身体が温かいものを欲していた。冷蔵庫を開けると、昨日買った鶏もも肉と、しなびかけた長ネギが目に入る。そうだ、今日は水炊きにしよう。シンプルな料理ほど、素材の良し...

March 21, 2026

朝、市場を歩いていると、春キャベツの山が目に飛び込んできた。淡い緑色が朝日に透けて、まるで薄紙のように柔らかそうだった。手に取ると、ずっしりとした重みと、葉の表面に残る冷たい露が指先に伝わってくる。 ...

March 20, 2026

今朝、市場で春キャベツを見つけた瞬間、心が躍った。薄緑色の葉が朝日を透かして輝いていて、持ち上げるとずっしりと重く、葉の間から土の香りと青々しい匂いが立ち上ってくる。指で表面をなぞると、葉脈がくっきり...

View all posts