今朝、近所の商店街で見つけた小さな豆腐屋さんに立ち寄った。ガラス越しに見える湯気が朝日に照らされて、店内全体がやわらかい光に包まれていた。「おはようございます」と声をかけると、おばあちゃんが笑顔で「今日のはできたてだよ」と木綿豆腐を勧めてくれた。
手に取ると、ずっしりとした重みと、ほんのり温かい感触が伝わってきた。大豆の甘い香りが鼻をくすぐる。祖母の家で食べた朝ごはんを思い出した。あの頃は何でもない豆腐が、こんなに特別なものだとは思っていなかった。
帰宅してすぐ、冷奴にしようと切り分けた。最初の一切れ目で崩してしまった。包丁を濡らすのを忘れていた。ああ、基本を忘れてたと苦笑いしながら、次は丁寧に水で包丁を湿らせてから切った。するとスッと刃が入り、きれいな断面が現れた。
器に盛り、生姜と青ねぎ、醤油だけのシンプルな味付け。一口含むと、舌の上でほろりと崩れて、濃厚な大豆の旨味が広がった。後味は驚くほど清らか。何も足さなくてよかったと思った。
食べ終えてから、あの豆腐屋さんは何年続いているんだろうと考えた。おばあちゃんの手つきには、長年の経験が滲み出ていた。こういう店が消えていくのは寂しい。また来週も立ち寄ろう、今度は厚揚げも買ってみようと決めた。
丁寧に作られたものを、丁寧に味わう。それだけで一日が豊かになる。そんなことを、一丁の豆腐が教えてくれた金曜日だった。
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