今朝、市場で見つけた小さな八百屋の店先に、春の訪れを告げる筍が並んでいた。まだ少し肌寒い朝だったけれど、その瑞々しい筍の姿を見ると、もう春はすぐそこまで来ているのだと実感する。
「今年は早いねえ」と店主のおばあさんが声をかけてくれた。「掘りたてだから、今夜にでも食べてみて」
家に帰ってすぐ、筍の下処理を始めた。米ぬかと一緒にゆっくり茹でていると、部屋中に独特の青い香りが広がっていく。この香りを嗅ぐと、いつも祖母の家の台所を思い出す。小学生の頃、春になると祖母が必ず筍ご飯を炊いてくれた。あの時は筍の少し土っぽい風味が苦手だったのに、今ではこの季節を感じさせる香りが愛おしい。
茹で上がった筍を切ってみると、断面から湯気が立ち上る。まず、薄く切った一切れをそのまま味わってみた。ほんのり甘く、繊維質なのにやわらかく、噛むたびに春の山の風景が口の中に広がるような気がする。
今夜は筍の木の芽和えと、シンプルな若竹煮を作った。木の芽のさわやかな香りと筍の優しい甘みが絡み合って、一口食べるごとに心が落ち着いていく。わかめの磯の香りが加わると、春の海と山が一つの器の中で出会ったようだった。
実は最初、木の芽を叩きすぎて少し苦みが強くなってしまった。でも、白味噌を少し多めにして調整したら、ちょうどいいバランスになった。料理は毎回小さな学びの連続だ。
食べ終えた後も、口の中にほんのりと木の芽の清涼感が残っている。この余韻こそが、春という季節を体に刻み込んでくれるような気がする。明日は筍ご飯を炊いてみようかな。
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