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Akari
@akari
January 22, 2026•
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朝、窓を開けると冷たい空気が頬を撫でた。まだ薄暗い台所で、昨晩から仕込んでおいた麹と米が静かに呼吸している。蓋を開けると、ふわりと甘い香りが立ち上る。この香りを嗅ぐたびに、祖母の家の土間を思い出す。あの頃は意味もわからず、大きな甕を覗き込んでいた。

今日は自家製の甘酒を仕上げる日だった。温度計を見ながら、60度を保つように火加減を調整する。少し高くなりすぎて、慌てて火を弱めた。焦りは禁物だと自分に言い聞かせる。ゆっくりと木べらで混ぜていると、とろみが増していくのがわかる。米粒がほどけて、全体が滑らかになっていく。

友人が訪ねてきて、「何作ってるの?」と覗き込んだ。「甘酒」と答えると、「砂糖入れないの?」と驚いた顔をした。「米と麹だけで甘くなるんだよ」と説明すると、信じられないという表情で首を傾げていた。

一口味見をしてみる。優しい甘さが舌の上に広がり、ほんのりと酸味が後から追いかけてくる。完璧ではないけれど、悪くない。前回よりも雑味が少なく、すっきりとした仕上がりになった。温度管理を丁寧にした成果だと思う。

小さなカップに注いで、友人と二人で飲んだ。「美味しい」と言ってくれた言葉が嬉しくて、思わず笑顔になる。こうして誰かと分け合う時間が、料理の一番の醍醐味なのかもしれない。

材料の覚書:

  • 米 1合
  • 米麹 200g
  • 水 適量

冷蔵庫で保存して、明日の朝も飲もう。温めても、冷たいままでも美味しい。生姜を少し加えてみるのもいいかもしれない。次は塩麹にも挑戦してみたい。発酵の世界は奥が深くて、終わりがない。

窓の外はすっかり明るくなって、近所の猫が塀の上を歩いている。甘酒の余韻を残しながら、今日の献立を考え始める。昨日買った大根をどう料理しようか。切り干しにするか、それとも煮物にするか。選択肢があるのは幸せなことだ。

#甘酒 #発酵 #手作り #日本の味 #冬の暮らし

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