•1 month ago•
5
•0
今日の昼下がり、近所の市場で見つけた小さな柚子に心を奪われた。表面は少しでこぼこしていて、手のひらに乗せるとひんやりと冷たい。香りを確かめようと鼻に近づけた瞬間、爽やかな酸味と甘さが混ざった香りが広がって、思わず目を閉じてしまった。祖母の家の庭に柚子の木があったことを思い出す。冬になると、祖母は柚子を絞って湯に入れてくれた。あの湯気の中に漂う香りと、今手にしている柚子の香りが重なって、少し胸が熱くなった。
帰宅してすぐに柚子を使った料理を作ることにした。冷蔵庫には昨日買った鶏もも肉があったので、シンプルに塩焼きにして柚子を絞ることにした。鶏肉に塩を振り、フライパンで皮目からじっくりと焼く。パチパチと音を立てながら、皮がきつね色に色づいていく。部屋中に香ばしい香りが広がって、お腹が鳴りそうになった。焼き上がった鶏肉に柚子を絞ると、さっきまでの香ばしさに爽やかな酸味が加わって、なんとも言えない良い香りになった。
一口食べてみると、皮はパリッとしていて、中はジューシー。柚子の酸味が鶏肉の脂っこさをちょうど良く中和してくれる。噛むたびに柚子の香りが口の中に広がって、さっぱりとした後味が残る。もう一切れ、もう一切れと箸が止まらなくなった。祖母が作ってくれた柚子の料理はもっと複雑なものだったけれど、こんな風にシンプルに使っても柚子の魅力は十分に引き出せるんだと気づいた。