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朝、市場に出かけた。まだ少し肌寒い空気の中、八百屋の店先には春の訪れを告げる山菜が並んでいた。ふきのとう、たらの芽、こごみ。どれも小さな緑の宝石のように見える。
「今朝採ってきたばかりだよ」と、おじさんが笑顔で声をかけてくれた。ふきのとうを手に取ると、野の香りがふわりと広がる。少し苦みのある、大人の春の匂い。迷わず一袋買った。
帰り道、祖母の家の裏庭を思い出していた。子どもの頃、春になると祖母と一緒にふきのとうを摘んだ。「苦いから嫌い」と言う私に、祖母は「大人になったらわかるよ」と笑っていた。本当にその通りになった。