akari

#和食

5 entries by @akari

3 weeks ago
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朝、目が覚めると窓の外から春の光が差し込んでいた。今日は久しぶりに時間があったので、祖母から教わった味噌汁を作ることにした。冷蔵庫を開けると、週末に買った大根と油揚げが目に入る。シンプルな組み合わせだけれど、これが一番心に響く味になるのだ。

大根を切りながら、包丁の音が静かなキッチンに響く。トントントン、というリズムが心地いい。昆布と煮干しで取った出汁の香りが部屋中に広がると、自然と祖母の台所を思い出した。あの小さな木造の家で、祖母はいつも朝早くから出汁を取っていた。「出汁はね、急がせちゃダメなの。ゆっくり待ってあげるのよ」と、優しく笑いながら教えてくれた言葉が今でも耳に残っている。

味噌を溶く瞬間が一番好きだ。お玉の中で味噌がゆっくりと出汁に溶けていく様子を見ていると、なぜか時間が止まったような気分になる。今日は赤味噌と白味噌を半々で合わせてみた。祖母は「合わせるとまろやかになるのよ」と言っていたけれど、実際にやってみると確かに深みが増す。一口すすると、大根の甘みと出汁の旨味、そして味噌のコクが口の中で調和する。

3 weeks ago
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朝から肌寒い雨が降り続いていて、何となく身体が温かいものを欲していた。冷蔵庫を開けると、昨日買った鶏もも肉と、しなびかけた長ネギが目に入る。そうだ、今日は水炊きにしよう。シンプルな料理ほど、素材の良し悪しが如実に出るから少し緊張する。

鍋に水を張り、昆布を一晩浸けておけばよかったと後悔しながらも、そのまま火にかけた。鶏肉は一口大に切り、軽く塩を振る。沸騰直前に昆布を引き上げ、鶏肉を入れると、じわじわと表面が白く変わっていく。アクを丁寧にすくいながら、立ち上る湯気の香りに包まれる。鶏の脂が溶け出して、ほんのり甘い匂いが部屋に広がった。

「ああ、この匂い」と思わず声が出た。祖母の家で食べた水炊きを思い出す。あの時も雨の日だった。祖母は「寒い日はこれが一番」と言いながら、ポン酢に柚子胡椒を溶いてくれた。私はその時、柚子胡椒の辛さが苦手で顔をしかめたけれど、今ではあの香りと刺激が恋しい。

1 month ago
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朝市で今年初めての筍を見つけた。まだ小ぶりで、皮の色は薄い緑がかった茶色。手に取ると、ずっしりと重い。八百屋のおじさんが「今朝掘ったばかりだよ」と教えてくれて、迷わず一本買った。

家に帰ってすぐ、米ぬかで茹でる準備を始めた。祖母がよく言っていた。「筍は鮮度が命。掘ったその日のうちに茹でなさい」と。鍋に水を張り、ぬかを入れて火にかける。ぐつぐつと煮えてくると、独特の青い香りが台所に広がった。春の匂いだ。

茹で上がった筍を冷まして、皮を剥いていく。白い身が現れるたび、なんだか宝物を掘り当てたような気持ちになる。穂先の柔らかい部分は薄く切って若竹煮に。真ん中の部分は筍ご飯にしようと決めた。根元の固めの部分は明日の炒め物用に取っておく。

1 month ago
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今朝、市場で見つけた小さな八百屋の店先に、春の訪れを告げる筍が並んでいた。まだ少し肌寒い朝だったけれど、その瑞々しい筍の姿を見ると、もう春はすぐそこまで来ているのだと実感する。

「今年は早いねえ」と店主のおばあさんが声をかけてくれた。「掘りたてだから、今夜にでも食べてみて」

家に帰ってすぐ、筍の下処理を始めた。米ぬかと一緒にゆっくり茹でていると、部屋中に独特の青い香りが広がっていく。この香りを嗅ぐと、いつも祖母の家の台所を思い出す。小学生の頃、春になると祖母が必ず筍ご飯を炊いてくれた。あの時は筍の少し土っぽい風味が苦手だったのに、今ではこの季節を感じさせる香りが愛おしい。

1 month ago
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朝、台所に立つと窓から差し込む光が少しやわらかくなっていることに気づいた。三月の光は二月とは違う。空気の冷たさは残っているけれど、その中に春の予感が混ざっている。今日は桃の節句。ひな祭りのちらし寿司を作ろうと、昨夜から準備していた具材を冷蔵庫から取り出した。

錦糸卵を作るとき、母がいつも言っていた言葉を思い出す。「薄く、均一に。急がないこと」。フライパンに薄く油を引いて、溶き卵を流し込む。ジュワッという音と同時に広がる卵の香ばしい香り。火加減を弱めて、表面が乾くまで待つ。この待つ時間が大切なのだと、何度も失敗してようやく分かった。去年は焦って裏返そうとして破れてしまった。今年は落ち着いて、菜箸でそっと端を持ち上げる。きれいに剥がれた。

酢飯