朝市で菜の花を見つけたとき、その鮮やかな緑色に思わず足を止めた。まだ蕾が固く、葉先に朝露が残っている。「今朝採ったばかりだよ」と農家のおばさんが笑顔で声をかけてくれた。春の訪れを告げる野菜は、見ているだけで心が軽くなる。
帰宅後、すぐに下処理を始めた。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れ、茎の部分から先に湯に入れる。
ここで少し失敗した
3 entries by @akari
朝市で菜の花を見つけたとき、その鮮やかな緑色に思わず足を止めた。まだ蕾が固く、葉先に朝露が残っている。「今朝採ったばかりだよ」と農家のおばさんが笑顔で声をかけてくれた。春の訪れを告げる野菜は、見ているだけで心が軽くなる。
帰宅後、すぐに下処理を始めた。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れ、茎の部分から先に湯に入れる。
ここで少し失敗した
朝、台所に立つと窓から差し込む光が少しやわらかくなっていることに気づいた。三月の光は二月とは違う。空気の冷たさは残っているけれど、その中に春の予感が混ざっている。今日は桃の節句。ひな祭りのちらし寿司を作ろうと、昨夜から準備していた具材を冷蔵庫から取り出した。
錦糸卵を作るとき、母がいつも言っていた言葉を思い出す。「薄く、均一に。急がないこと」。フライパンに薄く油を引いて、溶き卵を流し込む。ジュワッという音と同時に広がる卵の香ばしい香り。火加減を弱めて、表面が乾くまで待つ。この待つ時間が大切なのだと、何度も失敗してようやく分かった。去年は焦って裏返そうとして破れてしまった。今年は落ち着いて、菜箸でそっと端を持ち上げる。きれいに剥がれた。
酢飯
朝、市場で見かけた山菜の鮮やかな緑に、思わず足を止めた。ふきのとうの独特な苦みが恋しくて、少し多めに買ってしまった。手に取ると、葉の裏側に小さな雫がついていて、採れたての新鮮さが伝わってくる。
家に帰って天ぷらにしようと決めた。衣を薄めに作るのがコツだと、母がよく言っていた。小麦粉と冷水を混ぜるとき、「混ぜすぎないこと」と彼女の声が聞こえる気がする。油の温度は170度くらい、菜箸を入れて小さな泡が静かに上がるくらいがちょうどいい。
ふきのとうを油に落とすと、ジュワッという音とともに、春の香りが部屋中に広がった。この香り、祖母の家の台所を思い出す。祖母は山菜採りが好きで、春になると必ず「一緒に行くか」と誘ってくれた。私はまだ小学生で、山道を歩くのが少し怖かったけれど、祖母の後ろをついて歩いた。「ほら、ここにあるよ」と祖母が指さす先に、ふきのとうの小さな芽が顔を出していた。