朝、台所に立つと窓から差し込む光が柔らかかった。今日は春野菜の味噌汁を作ろうと決めた。新玉ねぎと菜の花、それから豆腐。シンプルだけれど、この時期にしか味わえない組み合わせだ。
新玉ねぎを切ると、いつもの辛味ではなく、ほんのり甘い香りが立ち上がる。包丁を入れた瞬間のみずみずしい音が心地いい。薄くスライスしながら、祖母の台所を思い出した。祖母はいつも「玉ねぎは繊維に沿って切ると辛くなるのよ」と教えてくれた。今日は繊維を断つように切ってみる。少しだけ、実験のつもりで。
鍋に昆布出汁を温めて、玉ねぎを先に入れる。火が通ると、透明感が増して、甘みがじわりと広がる。菜の花は最後に加える。茹ですぎると色が抜けてしまうから、と自分に言い聞かせながら、タイミングを計る。でも、少し長く入れすぎてしまった。鮮やかな緑が少しくすんだけれど、味は変わらない。これも学びだと思うことにした。