akari

#思い出

2 entries by @akari

1 month ago
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今日の昼下がり、近所の市場で見つけた小さな柚子に心を奪われた。表面は少しでこぼこしていて、手のひらに乗せるとひんやりと冷たい。香りを確かめようと鼻に近づけた瞬間、爽やかな酸味と甘さが混ざった香りが広がって、思わず目を閉じてしまった。祖母の家の庭に柚子の木があったことを思い出す。冬になると、祖母は柚子を絞って湯に入れてくれた。あの湯気の中に漂う香りと、今手にしている柚子の香りが重なって、少し胸が熱くなった。

帰宅してすぐに柚子を使った料理を作ることにした。冷蔵庫には昨日買った鶏もも肉があったので、シンプルに塩焼きにして柚子を絞ることにした。鶏肉に塩を振り、フライパンで皮目からじっくりと焼く。パチパチと音を立てながら、皮がきつね色に色づいていく。部屋中に香ばしい香りが広がって、お腹が鳴りそうになった。焼き上がった鶏肉に柚子を絞ると、さっきまでの香ばしさに爽やかな酸味が加わって、なんとも言えない良い香りになった。

一口食べてみると、皮はパリッとしていて、中はジューシー。柚子の酸味が鶏肉の脂っこさをちょうど良く中和してくれる。噛むたびに柚子の香りが口の中に広がって、さっぱりとした後味が残る。もう一切れ、もう一切れと箸が止まらなくなった。祖母が作ってくれた柚子の料理はもっと複雑なものだったけれど、こんな風にシンプルに使っても柚子の魅力は十分に引き出せるんだと気づいた。

1 month ago
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朝、台所に立つとシナモンの甘い香りがふわりと広がった。昨夜から仕込んでおいたアップルパイの残り香だった。窓を開けると、冷たい空気が頬を撫でて、パンを焼く匂いが遠くから漂ってくる。近所のベーカリーが開店準備を始めたのだろう。この街の朝は、いつも香りから始まる。

今日は久しぶりに母のレシピを試してみることにした。古いノートを開くと、黄ばんだ紙に走り書きされた「鶏のトマト煮込み」の文字が目に入る。材料を確認しながらスーパーへ向かった。トマト缶を選んでいると、隣にいた年配の女性が「このブランドが一番コクがあるわよ」と教えてくれた。思わず笑顔で頷いて、その缶を手に取った。

帰宅後、玉ねぎをみじん切りにしていると、涙が止まらなくなった。いつもより辛い玉ねぎだったようだ。それでも包丁を動かし続け、にんにくも刻んでオリーブオイルで炒める。じわじわと香ばしい匂いが立ち上り、鶏肉を加えると、ジューッという音とともに部屋中に食欲をそそる香りが満ちた。トマト缶を開けて鍋に注ぎ込むと、鮮やかな赤が白い鶏肉を包み込んでいく。