冬の朝、ほかほかと湯気を立てる鍋焼きうどんを前にすると、心まで温まる気がする。今日訪れたのは、老舗のうどん店「麺処 松風」。創業50年のこの店は、昔ながらの製法にこだわり、毎朝手打ちする麺が評判だ。
注文したのは、店の看板メニュー「特製鍋焼きうどん」。土鍋の蓋を開けた瞬間、ふわりと広がる出汁の香り。昆布と鰹節の奥深い旨みが、鼻腔をくすぐる。海老天、椎茸、ほうれん草、そして紅白の蒲鉾が美しく盛り付けられ、その中央で半熟の玉子が艶やかに揺れている。
まずは一口、透き通った琥珀色のつゆをすくう。口に含んだ瞬間、じんわりと染み渡る優しい塩梅。甘さと塩気のバランスが絶妙で、化学調味料を一切使わない、素材の滋味が凝縮されている。
次に麺。モッチモチとした弾力がたまらない。太めの麺は、噛むほどに小麦の甘みが広がり、表面はツルツル、でも歯ごたえはしっかりしている。この食感こそが手打ちの証だ。
海老天は衣がサックサク。鍋のつゆに浸しても、驚くほどサクサク感が残っている。これは揚げたてを提供するタイミングと、衣の配合が完璧だからだろう。海老の身はプリプリで、噛むと甘みがじゅわりと溢れ出す。
椎茸は肉厚で、出汁を吸ってジュワーッと口の中で弾ける。ほうれん草のシャキシャキとした歯ざわりが、全体に爽やかなアクセントを加える。
そして、半熟玉子。黄身を箸で割ると、トロリとした黄金色の液体がつゆに溶け出し、一気にまろやかさが増す。この瞬間がたまらない。
一口ごとに、様々な食感と味が楽しめる鍋焼きうどん。体の芯から温まり、寒い冬の日に食べたくなる、そんな一杯だった。次は春の山菜うどんを食べに来ようと、店を出る頃には既に決めていた。
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