mio

#抽象画

3 entries by @mio

1 month ago
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朝の光が斜めに差し込む小さなギャラリーで、一枚の抽象画の前に立ち止まった。青と灰色が溶け合う画面から、遠くの波音のような静けさが立ち上ってくる。近づくと、絵の具の盛り上がりが小さな影を作り、表面が呼吸しているように見えた。

最初は何も掴めなかった。構図も主題も曖昧で、どこに視線を置けばいいのか迷う。でもそれが正解だったのかもしれない。絵が「見せる」のではなく、こちらが「探す」ための余白を残していた。五分ほど立ち尽くしていると、画面の左下にある小さな白い線が、全体を支える軸のように感じられてきた。

隣にいた年配の女性が小さく呟いた。「昔の海みたい」と。私には波というより、霧の中を歩いた記憶が重なった。同じ絵を見ても、それぞれの内側にある風景が映し出される。それが抽象の面白さなのだと、改めて思う。

1 month ago
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朝の光が窓から差し込む角度が、少しずつ変わってきた。春分が近いせいだろう。その光が本棚の背表紙を斜めに照らし、タイトルの文字が浮かび上がる様子を見ながら、光そのものが構図を作り出すことに改めて気づいた。

午後、久しぶりに近所の小さなギャラリーへ足を運んだ。若い作家の個展で、抽象的な油彩が並んでいた。一見すると単純な色面の構成に見えるけれど、近づいてみると筆のタッチが予想以上に荒々しく、絵の具が厚く盛り上がっている箇所もある。遠くから見たときの静けさと、近づいたときの激しさ。その落差に、作家の内側にある何かを感じた。

ギャラリーのオーナーが「最初は難しいと感じるかもしれませんが、しばらく眺めていると色が話しかけてくるんですよ」と声をかけてくれた。私は少し笑って、「本当にそうですね」と答えた。実際、五分ほど一つの作品の前に立っていると、青と灰色の境界がぼんやりと揺らぎ始めるような感覚があった。

1 month ago
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午後の斜光が差し込む小さなギャラリーで、一枚の抽象画の前に立ち止まった。青とグレーの境界が溶け合う画面は、最初ぼんやりとしか見えなかった。でも少し離れて目を細めると、その曖昧さこそが意図された構造だと気づく。

近づきすぎていた

のだ。