午前中、ギャラリーの白い壁に映り込む光の揺らぎを見ていた。窓外の街路樹が風に揺れるたび、影が微かに動く。その動きはまるで呼吸のようで、静止した絵画たちに命を吹き込んでいるように感じられた。
今日訪れたのは、若手作家の個展。キャンバスに重ねられた絵具の層が、ある角度から見ると驚くほど立体的に浮かび上がる。マチエールの豊かさというのはこういうことなのだと、改めて気づかされた。写真では決して伝わらない、物質としての絵画の存在感。近づいて、離れて、また近づく。その往復運動の中で、作品は表情を変え続ける。
作家本人が会場にいて、少し話を聞くことができた。「最初は平坦に塗っていたんです。でも、あるとき絵具を厚く盛ってみたら、光の当たり方が全然違って。それから試行錯誤の連続でした」。失敗を恐れず、偶然を味方につける姿勢。創作の本質はそこにあるのかもしれない。