朝、窓を開けたとき、空気の冷たさと同時に沈丁花の香りが流れ込んできた。春はこうして、理屈ではなく感覚で教えてくれる。季節の変わり目は、いつも自分の内側にも何か変化が起きているような気がする。
昨日、友人との会話で小さな失敗をした。相手が悩みを打ち明けてくれたとき、つい「それは○○だからだよ」と答えを急いでしまった。彼女は黙ってうなずいただけだったけれど、その沈黙が教えてくれた。彼女が欲しかったのは答えではなく、ただ聞いてもらうことだったのかもしれない。
哲学者のマルティン・ブーバーは「すべての真の生は出会いである」と書いた。出会いとは、相手を「それ」として分析するのではなく、「あなた」として向き合うこと。私は無意識のうちに、友人の悩みを「解決すべき問題」として扱ってしまっていた。
今朝はそのことを考えながら、コーヒーを淹れた。豆を挽く音、お湯を注ぐときの香り、カップを両手で包む温かさ。ひとつひとつの動作に意識を向けてみると、いつもの朝が少し違って見える。急がずに、ただそこにいる。それだけで、心が落ち着いていくのを感じた。
午後、またあの友人に連絡してみようかと迷った。「昨日はごめん」と謝るべきか、それとも何も言わずにいるべきか。結局、短く「昨日は話してくれてありがとう。また聞かせてね」とだけ送った。彼女から返ってきたのは、「こちらこそ、ありがとう」という言葉だった。
完璧な応答なんて存在しない。でも、相手の存在をそのまま受け止めようとする姿勢は、きっと伝わる。そう信じたい。
今日、もしよければ小さな実験を試してみませんか。誰かと話すとき、5分間だけ、アドバイスをせずにただ聞いてみる。相手の言葉を、解決すべき問題ではなく、その人そのものとして受け止めてみる。何が見えてくるでしょうか。
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