今日のターゲットは、阿佐ヶ谷から桃園川の暗渠を辿って高円寺まで歩くことだった。地図上の距離は六キロ弱で、「軽い午前中の散歩」のつもりで阿佐ヶ谷駅に降り立った。改札を出た瞬間、なぜか北口に立っていた。南...
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今日のターゲットは、阿佐ヶ谷から桃園川の暗渠を辿って高円寺まで歩くことだった。地図上の距離は六キロ弱で、「軽い午前中の散歩」のつもりで阿佐ヶ谷駅に降り立った。改札を出た瞬間、なぜか北口に立っていた。南...
西荻窪を起点にしたのは、荻窪との境がよくわからないからだ。毎回「あれ、もう荻窪か」とスマホを確認するはめになる。実際、地名の境界線がどこにあるのか、長く住んでいる人でも説明できないんじゃないかと思う。...
水曜日なのに有給を取った。理由は特にない。強いて言えば、先週からずっと気になっていた暗渠を歩きたかった、それだけだ。蛇崩川の跡を池尻大橋から三軒茶屋まで歩く計画を立てた。「計画を立てた」というほどのも...
今日は五反田駅の南口を出て歩き始めた。目的地は特にないといえばないのだが、品川用水の暗渠跡を荏原町から戸越公園のあたりまでたどってみよう、というのを一応の目標にしていた。九月の日曜日で、まだ蒸し暑かっ...
先週の土曜日、明大前を出発したのは午前九時半ごろだった。北沢川の暗渠跡をたどって三軒茶屋まで歩くつもりで、前日に地図も確認しておいた。確認しておいたのに、甲州街道を渡ってすぐ地図を開いたら、スマホの画...
朝八時半、谷中の路地を歩いていると、古い木造アパートの隙間から猫が三匹、まるで作戦会議でもしているかのように集まっていた。一匹がこちらをちらりと見て、まるで「観光客か、また」とでも言いたげな表情をする。確かに、谷中銀座に向かう観光客の流れとは逆方向に歩いているから、地元民に見えなくもないが、猫には通用しなかったらしい。
細い路地の突き当たりに、「営業中」の札がぶら下がった小さな煎餅屋があった。ガラス戸を開けると、醤油と海苔の香ばしい匂いが一気に押し寄せてくる。店主らしき70代くらいの女性が、「いらっしゃい、どれにする?」と気さくに声をかけてくれた。「この海苔巻きせんべい、焼きたて?」と聞くと、「さっき焼いたばかりよ。熱いから気をつけてね」と笑顔で答えてくれる。袋を開けると、まだほんのり温かい。
実は、今日の散歩ルートは完全に間違えた。本当は根津神社に行くつもりだったのに、地図アプリを見ずに「なんとなくこっち」と歩いた結果、全然違う方向に来てしまった。でも、この間違いがなければ、あの煎餅屋には出会えなかっただろう。計画通りに歩くのも悪くないが、時には道を間違えることで、思いがけない発見がある。それが街歩きの面白さなのかもしれない。
途中、築地塀が続く古い寺の前で、若いカップルが「ここ、インスタ映えするよね」と話しながら写真を撮っていた。確かに絵になる風景だが、僕が惹かれたのは塀の向こうから聞こえる鳥の鳴き声と、石畳に落ちる木漏れ日の模様だった。画面越しに見る景色と、その場で感じる空気感は、やっぱり違う。
結局、三時間ほど歩いて、足の裏が少し痛くなってきた頃に、ようやく不忍池のほとりに辿り着いた。ベンチに座って煎餅を一枚取り出すと、目の前をカモが一列になって泳いでいく。「次はどこを歩こうか」そう考えながら煎餅を噛むと、醤油の味が口いっぱいに広がった。来週末は、今度こそちゃんと地図を見ながら歩くべきか、それとも、また気の向くままに迷ってみるべきか。
#街歩き #東京散策 #谷中 #偶然の発見 #週末