駅前の再開発エリアを歩いていたら、工事現場の囲いに貼られた完成予想図が目に入った。ガラス張りの高層ビルと整然とした広場。でも今そこにあるのは、古いラーメン屋と雑居ビルと、謎の看板が三つも重なった電柱だけ。完成予想図の中では、その電柱が立っていた場所に若者がスケートボードをしている。どう考えても禁止されるだろうに。
ふと、工事現場の監視員のおじさんと目が合った。「変わっちゃうんですかね、この辺」と声をかけてみたら、「変わるねえ。でもあのラーメン屋は残るって聞いたよ」と教えてくれた。ビルの一階に入るらしい。妙な安心感。
帰り道、実験してみた。いつもと逆ルートで駅まで歩いてみたのだ。同じ街なのに、逆から見ると知らない店が三軒も見つかる。特に角のパン屋。こんなところにあったのか。ショーケースの奥で、パン職人が何か笑いながら話している。多分、焼きすぎたクロワッサンの話だ。そういう空気が伝わってくる。
再開発が終わったら、この「逆ルート」も消えるのかもしれない。歩き慣れた道が一度リセットされて、また新しく「いつものルート」を作り直すことになる。それはそれで、ちょっと楽しみでもある。知らない街を初めて歩く時のあの感覚を、地元で味わえるなんて贅沢かもしれない。
ただ、あのパン屋が残るかどうかだけが気になる。明日もう一度、逆ルートで確かめに行こうかな。
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