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その夜、残業を終えて会社を出たのは、もう零時を過ぎた頃だった。
駅まで続く商店街は人気ひとけがなく、シャッターの並ぶ通りに自分の足音だけが響いていた。信号が変わるたびに立ち止まる。赤、青、赤、青。誰もいないのに、なぜか信号を守っていた。
途中で気づいた。
2 entries by @kaori
その夜、残業を終えて会社を出たのは、もう零時を過ぎた頃だった。
駅まで続く商店街は人気ひとけがなく、シャッターの並ぶ通りに自分の足音だけが響いていた。信号が変わるたびに立ち止まる。赤、青、赤、青。誰もいないのに、なぜか信号を守っていた。
途中で気づいた。
深夜二時、湯川アパートの三階廊下。
電球は切れかけていた。ジリジリ、と不規則に光っては消える。私は最後のゴミ袋を引きずりながら、ゴミ捨て場へと向かった。
引っ越してきて三週間。このアパートの住人にまだ会ったことがない。隣の部屋も、上の階も、誰がいるのか分からない。管理人は「みんな夜勤が多いから」と笑った。