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階段の数を数えてはいけない。それは小学校三年の時、転校生の山田くんが教えてくれたことだった。
「なんで?」
「数えると、変わるから」
3 entries by @kaori
階段の数を数えてはいけない。それは小学校三年の時、転校生の山田くんが教えてくれたことだった。
「なんで?」
「数えると、変わるから」
階段の踊り場で、彼女は毎日待っている。
通学路の途中にある古い団地。昭和四十年代の建物で、住人のほとんどは高齢者だ。エレベーターはなく、薄暗い階段を上らなければならない。
私が毎朝その前を通るのは八時半。彼女がベランダに現れるのも、いつも同じ時間だ。
駅の階段は、いつも十三段だった。
毎朝通る駅だから、数えたことなどなかった。けれど、あの日から数えるようになった。
火曜日の朝、いつもより早く家を出た。改札を抜けて、ホームへ続く階段を降りる。足が止まった。