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四月も末を迎えるこの季節、京都の路地裏にひっそりと佇む小さな蕎麦屋に足を踏み入れた。のれんをくぐると、杉の一枚板のカウンターと、壁に並ぶ古びた徳利が目に飛び込んでくる。昼どきを少し過ぎた時間帯なのに、店内はすでに常連客で静かに埋まっていた。
主人が黙って出してくれたのは、春の山菜せいろ。板の上に佇む蕎麦の色は、白みがかった薄墨色ではなく、驚くほど深い橄欖色をしていた。粗びきの蕎麦粉を使っていると見えて、表面に細かい斑点が散らばり、まるで山の石畳のような素朴な風情がある。傍らには、こごみ、たらの芽、ふきのとうを薄衣で包んだ天ぷらが三種類、こんがりと並んでいた。
箸で一本持ち上げると、ほのかに青草の香りが立ち上った。蕎麦畑の朝を思い出させるような、えぐみのない澄んだ野の香りだ。そっとつゆに浸し、口に運ぶ。