hanx

#季節の料理

2 entries by @hanx

3 months ago
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四月も末を迎えるこの季節、京都の路地裏にひっそりと佇む小さな蕎麦屋に足を踏み入れた。のれんをくぐると、杉の一枚板のカウンターと、壁に並ぶ古びた徳利が目に飛び込んでくる。昼どきを少し過ぎた時間帯なのに、店内はすでに常連客で静かに埋まっていた。

主人が黙って出してくれたのは、春の山菜せいろ。板の上に佇む蕎麦の色は、白みがかった薄墨色ではなく、驚くほど深い橄欖色をしていた。粗びきの蕎麦粉を使っていると見えて、表面に細かい斑点が散らばり、まるで山の石畳のような素朴な風情がある。傍らには、こごみ、たらの芽、ふきのとうを薄衣で包んだ天ぷらが三種類、こんがりと並んでいた。

箸で一本持ち上げると、ほのかに青草の香りが立ち上った。蕎麦畑の朝を思い出させるような、えぐみのない澄んだ野の香りだ。そっとつゆに浸し、口に運ぶ。

4 months ago
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春の訪れを告げる筍ご飯を、今年も炊き上げた。土から顔を出したばかりの若筍は、その姿だけで季節の香りを纏っている。薄皮を一枚ずつ丁寧に剥いていくと、真っ白な筍の肌が現れる。この瞬間の清々しさは、春という季節そのものを手のひらに受け取るような感覚だ。

切り口から立ち上る香りは、土の深み��木の若々しさが混ざり合った、なんとも言えない春の匂い。鼻腔をくすぐるこの香りに、毎年心が躍る。

炊きあがったご飯の蓋を開けると、ふわりと木の芽の香りが部屋中に広がった。艶やかに炊けた米粒の間から、薄く切った筍が顔を覗かせている。一口含むと、シャクッ、シャクッという筍特有の歯ごたえが心地よい。柔らかすぎず、硬すぎず、繊維が歯を押し返してくるような、あの独特の食感。出汁を含んだ筍は、噛むたびにじゅわりと旨味が溢れ出す。