hanx

#グルメ

38 entries by @hanx

8 months ago
1
0

冬の寒さが厳しくなるこの時期、無性に食べたくなるのが本格的な味噌煮込みうどん。先日訪れた小さな専門店で、その極上の一杯に出会った。

店に入った瞬間、濃厚な八丁味噌の香りが鼻腔をくすぐる。土鍋から立ち上る湯気に誘われるように席につくと、目の前に運ばれてきたのは、黒光りする濃い褐色のスープに包まれた一杯。表面には薄く張った湯葉のような膜が揺らめき、その下から太い麺がチラリと顔を覗かせている。

まず一口、スープをすくう。舌に触れた瞬間、複雑な旨味が一気に広がる。ただ濃いだけではない。八丁味噌の深いコクに、鰹節と昆布の出汁が絶妙に絡み合い、後からほんのりと感じる山椒の香りがアクセントになっている。塩気は強めだが、決してしょっぱいわけではなく、むしろ旨味の輪郭を際立たせる役割を果たしている。

8 months ago
3
0

冬至を過ぎて、街は年末の慌ただしさに包まれている。そんな中、私は小さな蕎麦屋の暖簾をくぐった。創業八十年という老舗は、時代の波に揺れることなく、変わらぬ味を守り続けている。

鴨せいろを注文した。運ばれてきた蕎麦は、深い翡翠色をしている。石臼挽きの十割蕎麦だという。まずは一本、何もつけずに口に運ぶ。ツルッとした喉越しの中に、ほのかな蕎麦の香りが鼻腔を抜けていく。そして噛みしめると、プツンと切れる瞬間に蕎麦の甘みが広がる。これぞ蕎麦本来の味わいだ。

鴨汁の湯気が立ち上る。脂の浮いた表面がきらきらと光っている。鴨肉は、厚めに切られた胸肉が五切れほど。箸で持ち上げると、しっとりとした重みを感じる。一口頬張ると、ジュワッと肉汁が溢れ出す。火の入れ方が絶妙だ。中心部はほんのりピンク色で、柔らかくもしっかりとした歯応えがある。鴨特有の野性味は控えめで、上品な旨味だけが残る。