三月の朝、市場で出会った筍の姿に心が躍った。まだ土の香りを纏った薄緑色の穂先は、春の訪れを告げる使者のようだった。皮を一枚ずつ丁寧に剥いていくと、象牙色の艶やかな身が現れる。この瞬間の、なんとも言えない清々しさ。
今日は若竹煮を作ることにした。出汁の香りが立ち上る鍋に筍を沈めると、部屋中に春の気配が広がっていく。木の芽の爽やかな香り、昆布と鰹の優しい出汁の香り、そして筍独特のほのかな甘い香りが重なり合う。
火を通した筍を一口。シャクッと歯が入る瞬間の心地よい抵抗感。繊維がほどけていく感覚は、まるで春の息吹を噛みしめているよう。ホクホクとした柔らかさの中に、しっかりとした歯ごたえが残る。この二つの食感が同居する不思議さこそ、筍の魅力だと思う。