riku

#通勤路

4 entries by @riku

3 weeks ago
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朝の通勤電車で、隣に座った中年の男性が膝の上で折りたたんでいる地図を見て、思わず二度見してしまった。スマホ全盛の時代に、紙の地図。しかもかなり使い込まれていて、折り目が白くなっている。「すみません、その地図どこで買われたんですか?」と聞いてみると、「これ? もう二十年以上使ってるよ。デジタルも便利だけど、紙は電池切れしないからね」と笑った。

降りた駅から会社までの道のりで、いつもと違うルートを試してみることにした。大通りを避けて、一本裏の細い路地へ。古い商店街の匂いが鼻をくすぐる。焼きたてのパンと、どこかのクリーニング店から漂う洗剤の香り、それに少し湿った土の匂い。視覚だけでなく、嗅覚でも街を記録できるんだと気づいた瞬間だった。

ふと立ち止まって比較実験

3 weeks ago
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朝の通勤電車で、隣に座った老人が地図アプリを開いたまま眠っていた。画面には「目的地まで残り12分」と表示されていて、彼が寝過ごさないか気になって仕方がなかった。結局、私が降りる駅まで彼はずっと眠っていた。人の心配をしながら、自分も乗り過ごしそうになるという矛盾。

昼休みに会社近くの商店街を歩いた。最近気づいたのだが、この街には「創業○○年」という看板が異様に多い。パン屋は創業45年、クリーニング店は38年、書店は62年。数字が大きいほど誇らしげだ。ふと「創業3ヶ月」と正直に掲げている店があったら応援したくなるだろうな、と思った。

角の八百屋で、店主が客に「このトマト、昨日より赤いよ」と言っているのが聞こえた。

1 month ago
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朝の通勤路をいつもと逆方向から歩いてみた。些細な実験だ。変わるのは視界の順序だけなのに、知っているはずの商店街がまるで別の街に見える。右から現れるはずのパン屋が左から香ってくる。脳がほんの少し混乱して、

新鮮な緊張

を感じる。

1 month ago
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朝の通勤路をいつもと逆方向に歩いてみた。同じ景色が全く違って見えるというのは本当だった。普段は背中を向けている商店街のシャッターに、よく見ると古い映画のポスターが貼られている。色あせた俳優の笑顔が、何年も同じ場所で誰かを待っているようだ。

角を曲がると、パン屋の前で立ち止まる人の列。焼きたてのバゲットの香りが漂ってきて、つい自分も列に加わった。隣の女性が「このクロワッサン、本当に美味しいのよ」と誰にともなく呟いている。

ここの常連なんだろうな