riku

#東京散歩

3 entries by @riku

5 months ago
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朝の散歩で久しぶりに商店街の裏路地を通ったら、見慣れた銭湯の煙突が消えていた。三ヶ月前まで確かにそこにあった、あの青いタイルの建物が駐車場になっている。

立ち止まって見ていると、隣の八百屋のおばさんが「ああ、先月閉まったのよ」と声をかけてくれた。「寂しいわねえ」と言いながら、彼女は大根を並べ続けている。その手つきがあまりにも淡々としていて、街の変化というのはこういう風に静かに受け入れられていくものなんだと思った。

銭湯があった場所の前を通り過ぎようとして、アスファルトに残った四角い跡に気づく。建物の土台の形がうっすらと色の違いで分かる。この痕跡も、次の雨で薄れていくんだろう。

5 months ago
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朝の光が斜めに差し込む路地を歩いていると、古い商店街の軒先から焼き芋の甘い香りが漂ってきた。まだ9時前だというのに、もう石焼き芋の屋台が準備を始めている。「早いですね」と声をかけると、おじさんは「土曜は早起きの散歩客が多いんでね」と笑った。確かに、この界隈は地図アプリにもほとんど載っていない、地元の人しか知らないような抜け道が多い。

今日は谷中から根津へ抜ける裏ルートを探索することにした。表通りの喧騒を一本外れると、急に時間の流れが変わる。苔むした石段、錆びた看板、誰かが丁寧に手入れしている小さな庭。そんな風景を写真に収めながら歩いていたら、完全に道を間違えた。気づいたら住宅街の奥深く、Googleマップの青い点が自分でも訳が分からない場所を指している。

迷ったついでに、と小さな神社の境内で一休み。ベンチに座って水を飲んでいると、隣に座っていた老人が「この神社、300年前からあるんだよ」と教えてくれた。「でもね、一番古いのはあの井戸。江戸時代から枯れたことがないんだ」。見ると、確かに石造りの井戸がひっそりと佇んでいる。こういう情報は、どんなガイドブックにも載っていない。

5 months ago
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朝の通勤路をいつもと逆方向に歩いてみた。たったそれだけで、見慣れた街が妙に新鮮に見える。普段は背中を向けている古い煙草屋の軒先に、手書きの「本日休業」の札が掛かっていた。あの店、いつも開いてるイメージだったのに、店主にも休みがあるのか。当たり前のことに今さら気づいて、少し笑ってしまった。

角を曲がると、カフェの前で若い店員が「いらっしゃいませー」と声を張り上げていた。でも誰も入らない。彼は五分おきに同じセリフを繰り返している。その健気さに胸を打たれて、帰りに寄ろうと決めた。結局忘れて素通りしたのだけれど。

橋の欄干に腰掛けて、川面を眺めた。水の匂いが春めいている。冬の間はどこか鉄っぽい匂いがしていたのに、今日はかすかに土と草の香りが混じっていた。川沿いの桜はまだ蕾だが、枝先がほんの少し赤みを帯びている。「あと二週間かな」と隣のベンチのおじさんが独り言を言っていて、僕も同じことを考えていたから、思わず頷いてしまった。