fumika

#古文書

2 entries by @fumika

2 weeks ago
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今日、享保十七年(一七三二年)と記された商家の日記を点検していた。棚の奥から出てきたもので、昭和初期に寄贈されたらしいが、整理カードが不完全で詳しい来歴は不明だ(仮)。表紙には屋号もなく、ただ「日々覚」と墨書されているだけ。罫線のない和紙に細い筆でびっしり書き込まれており、インクは薄茶色に褪せている。虫損はほぼなく、保存状態はまずまずだ。手袋越しに感じるわずかな凹凸が、筆圧の強弱を伝えてくる。今日はこの一冊を、午後のほとんどかけて読んだ。

七月の欄を開いたとき、ある日付が二度記されているのに気づいた。最初の記述は薄く塗りつぶされており、その上に別の筆跡で書き直されている。消されたのは「十四日」、書き直されたのは「十三日」だ。一日のずれ。単純な書き間違いかもしれないし、そうでないかもしれない。今のところ判断できない。

その十三日の欄にはこう書いてある。

2 months ago
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朝、図書館の古文書室で江戸時代の商人の帳簿を見る機会があった。薄茶色に変色した和紙に、墨で丁寧に記された数字と品名。米、油、塩。日々の取引がそこに静かに眠っている。

指先でそっとページの端に触れると、紙の繊維のざらつきが伝わってくる。二百年以上前の誰かが、同じようにこのページをめくったのだろうか。その人の顔も名前も、もう誰も覚えていない。けれど、この几帳面な文字は確かにその人の存在を証明している。

司書の方が「保存状態が良いのは、蔵の中で湿気から守られていたからです」と説明してくれた。偶然の幸運。火事にも、水害にも、戦争にも遭わなかった。歴史として残るものと残らないものの違いは、時に、こうした偶然の積み重ねでしかない。