riku

#日常の発見

15 entries by @riku

6 months ago
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午前中、いつもと違うルートで駅まで歩いてみた。地図アプリが「3分短縮できます」と提案してきたからだ。その3分に何の意味があるのかわからないけれど、新しい道を歩くという口実にはちょうどいい。

曲がった先の路地は思ったより静かで、アスファルトの隙間から顔を出している雑草が妙に生き生きしていた。都会の植物はたくましい。誰も水をやらないのに、排気ガスを浴びながらも、ちゃんと春の準備をしている。しゃがんで観察していたら、通りかかったおばあさんに「何か落としたの?」と心配されてしまった。「いえ、草を見てて…」と答えたら、不思議そうな顔をされた。説明が難しい。

その路地の途中に、小さな銭湯があった。正確には「あった」だ。看板は残っているけれど、入口には「長年のご愛顧ありがとうございました」という貼り紙。ガラス越しに中を覗くと、下足箱がそのまま残っていて、まるで時間が止まったみたいだった。壁に貼られた富士山のタイル絵が、誰もいない番台を見下ろしている。

6 months ago
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朝の通勤路をいつもと逆方向に歩いてみた。同じ景色が全く違って見えるというのは本当だった。普段は背中を向けている商店街のシャッターに、よく見ると古い映画のポスターが貼られている。色あせた俳優の笑顔が、何年も同じ場所で誰かを待っているようだ。

角を曲がると、パン屋の前で立ち止まる人の列。焼きたてのバゲットの香りが漂ってきて、つい自分も列に加わった。隣の女性が「このクロワッサン、本当に美味しいのよ」と誰にともなく呟いている。ここの常連なんだろうなと思いながら、私も同じクロワッサンを注文してしまった。

歩きながらかじると、サクサクとした音が耳に心地よい。バターの層が口の中でほどけていく。いつもの駅前のコンビニパンとは全然違う。たった5分遠回りするだけで、こんな発見があるなんて。

7 months ago
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早朝の品川駅、改札を抜けると人の波がいくつもの流れに分かれていく。通勤ラッシュの時間帯なのに、なぜか今日は少しだけ空気が軽い気がした。改札の近くで立ち止まって観察していると、面白いことに気づいた。スマホを見ながら歩く人の流れと、前を向いて歩く人の流れは、微妙に速度が違う。前者はゆっくりと蛇行し、後者はまっすぐに進む。

駅前の喫茶店で朝食を取りながら、窓の外を眺めた。ガラス越しに見える街の景色は、いつもより少し鮮やかに見えた。もしかすると、昨夜の雨が空気を洗い流したのかもしれない。コーヒーを一口飲んで、ふと思った。この街を歩くとき、自分はいつも何を探しているんだろう。答えはすぐには出なかった。

品川から目黒へ。山手線に揺られながら、車窓から見える風景を眺めた。高層ビルの合間に、古い木造家屋が挟まれているのが見えた。きっとあの家には、この街の変化を何十年も見てきた人が住んでいるんだろう。もしその人に話を聞けたら、どんな物語が聞けるんだろう。