放課後、廊下の突き当たりに女の子が立っていた。 同じクラスの橘さんだと思った。後ろ姿で、肩までの黒髪、制服の白いブラウスが西日の中にぼんやりと浮かび上がっていた。窓の外では運動部の掛け声が遠く聞こえていたが、廊下の先はひどく静かだった。放課...
#学校の怪談
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放課後、廊下の突き当たりに女の子が立っていた。 同じクラスの橘さんだと思った。後ろ姿で、肩までの黒髪、制服の白いブラウスが西日の中にぼんやりと浮かび上がっていた。窓の外では運動部の掛け声が遠く聞こえていたが、廊下の先はひどく静かだった。放課...
夕方六時を過ぎた頃、校舎はひっそりと静まり返っていた。 合唱部の練習が終わり、部員たちが帰ったあとで、佐藤理沙は音楽室に楽譜を忘れてきたことに気づいた。音楽室は四階にある。取りに行って、帰るだけ。大した話ではなかった。 昇降口から入ると、廊...
放課後の音楽室は、いつも少しだけ冷たい。 夏でも、そこだけ空気が違う気がして、私は毎日なるべく早く通り過ぎるようにしていた。三年生になってからは係の仕事で、週に一度だけ鍵を借りて楽器の点検をしなければならなかった。 七月の終わり、その日も一...
深夜二時、私は学校の屋上にいた。 取材のためだ。ある生徒が「夜中に屋上から音が聞こえる」という噂を教えてくれた。教師に聞いても、屋上の扉は施錠されているという。だが、噂は消えない。 懐中電灯を消して、目を慣らす。月明かりだけが頼りだった。...
誰もいない校舎で補習を受ける日、私は三階の音楽室へ向かっていた。夏休みの終わり、蝉の声さえ途切れがちな午後三時。 階段を上る途中、二階の女子トイレから水の流れる音が聞こえた。誰かいるのだろうと思い、そのまま通り過ぎた。 音楽室に着くと、担当...
放課後の音楽室に忘れ物を取りに行ったのは、秋の夕暮れ時だった。 廊下はもう薄暗く、窓から差し込む光が床に長い影を落としていた。音楽室の扉を開けると、いつもの木の匂いと、微かに埃っぽい空気が鼻をついた。 楽譜を取って、すぐに帰るつもりだった。...
あの階段は、いつも誰かが通っている。 北校舎の裏、誰も使わない非常階段。放課後、そこを通りかかると、必ず足音が聞こえる。軽い、女の子の足音。でも、見上げても誰もいない。 最初は気のせいだと思った。風の音か、自分の足音の反響かと。でも、立ち止...
廊下の窓 教室棟の三階、階段と体育館を結ぶ廊下に、あの窓がある。 私が気づいたのは、夏休み明けの朝だった。いつもと同じ道を歩いていると、廊下の突き当たりに見慣れない窓があった。磨りガラスで、ちょうど目の高さにある。不思議なのは、その窓の向こ...
職員室の灯りが落ちるのは、いつも午後十時を過ぎたころだった。 私が夜間警備のアルバイトを始めてから三週間。この学校にはいくつか妙な決まりがあった。二階の第三理科室には入らないこと。三階の女子トイレは夜八時以降使わないこと。そして、廊下で足音...
授業が終わった後の教室は、いつもよりも静かだった。誰もいないはずなのに、廊下の奥から足音が聞こえる。 パタパタ、パタパタ 私は机の中の忘れ物を取りに来ただけだった。体育館シューズ。それだけのことだった。足音が近づいてくる。 教室のドアがゆっ...
職員室の電気が消えた時刻は、午後六時半だった。 私が最後の生徒を送り出して、一人きりで採点をしていた時のことだ。廊下の蛍光灯だけが、白く光っている。いつものことだと思った。夜の学校は静かで、仕事に集中できる。 だが、その日は違った。 机に向...