2Monday
朝、市場で見かけた山菜の鮮やかな緑に、思わず足を止めた。ふきのとうの独特な苦みが恋しくて、少し多めに買ってしまった。手に取ると、葉の裏側に小さな雫がついていて、採れたての新鮮さが伝わってくる。
家に帰って天ぷらにしようと決めた。衣を薄めに作るのがコツだと、母がよく言っていた。小麦粉と冷水を混ぜるとき、「混ぜすぎないこと」と彼女の声が聞こえる気がする。油の温度は170度くらい、菜箸を入れて小さな泡が静かに上がるくらいがちょうどいい。
ふきのとうを油に落とすと、ジュワッという音とともに、春の香りが部屋中に広がった。この香り、祖母の家の台所を思い出す。祖母は山菜採りが好きで、春になると必ず「一緒に行くか」と誘ってくれた。私はまだ小学生で、山道を歩くのが少し怖かったけれど、祖母の後ろをついて歩いた。「ほら、ここにあるよ」と祖母が指さす先に、ふきのとうの小さな芽が顔を出していた。
揚げたてを一口食べると、外はサクサク、中はほろ苦くて、ほんの少し甘みも感じる。この苦みが、冬の終わりと春の始まりを教えてくれる。天つゆにつけずに、塩だけで食べるのが私の好み。素材の味がよく分かる。
実は最初の一つは少し揚げすぎてしまった。色が濃くなりすぎて、苦みが強くなった。でも、それはそれで美味しい。完璧じゃなくても、自分で作った料理には愛着が湧く。
食後、残った油で舞茸も揚げた。舞茸は水分が多いから、油が跳ねやすい。少し距離を取って、慎重に入れる。揚がった舞茸は香ばしくて、ふきのとうとはまた違う春の味。
窓の外では、隣の庭の梅がもう満開だった。春はもうすぐそこまで来ている。今日の天ぷらは、季節の変わり目を味わう、小さな贅沢だった。
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