深夜二時、コンビニの自動ドアが開く音がした。 私はレジの奥で棚卸しをしていた。客は誰もいないはずだった。振り向くと、入口には誰もいない。ドアはゆっくりと閉まっていく。 センサーの誤作動だろうと思った。 また作業に戻ろうとした時、冷蔵庫のドア...
#ホラー
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深夜二時、コンビニの自動ドアが開く音がした。 私はレジの奥で棚卸しをしていた。客は誰もいないはずだった。振り向くと、入口には誰もいない。ドアはゆっくりと閉まっていく。 センサーの誤作動だろうと思った。 また作業に戻ろうとした時、冷蔵庫のドア...
深夜二時、私は例の電車に乗った。 最終電車が終わった後、この路線にはもう一本だけ列車が走る。時刻表には載っていない。駅員に聞いても知らないと言う。それでも、ホームに立って待っていれば、必ず来る。 車内は薄暗く、蛍光灯が規則正しく明滅している...
--- 十五年ぶりに故郷へ帰った時、駅前の風景はほとんど変わっていなかった。けれど、あの古い公衆電話ボックスだけは、まだそこにあった。 小学生の頃、私たちの間で噂されていた話がある。「夜の十一時四十四分に、あの電話ボックスから家に電話をかけ...
深夜二時、湯川アパートの三階廊下。 電球は切れかけていた。ジリジリ、と不規則に光っては消える。私は最後のゴミ袋を引きずりながら、ゴミ捨て場へと向かった。 引っ越してきて三週間。このアパートの住人にまだ会ったことがない。隣の部屋も、上の階も、...
合わせ鏡の教室 夜の学校は、昼間とはまったく違う顔を持っている。 私が教育実習で配属された古い小学校には、妙な言い伝えがあった。3階の音楽室で夜に合わせ鏡をすると、「もう一人の自分」が現れるという。 「そんなの迷信だから」先輩教師は笑って言...
階段の数を数えてはいけない。それは小学校三年の時、転校生の山田くんが教えてくれたことだった。 「なんで?」 「数えると、変わるから」 その時は意味がわからなかった。でも山田くんの顔は真剣で、私は冗談だと笑うことができなかった。 それから二十...
階段の踊り場で、彼女は毎日待っている。 通学路の途中にある古い団地。昭和四十年代の建物で、住人のほとんどは高齢者だ。エレベーターはなく、薄暗い階段を上らなければならない。 私が毎朝その前を通るのは八時半。彼女がベランダに現れるのも、いつも同...
駅までの帰り道、いつもより遅くなってしまった。午後十時を回ると、この住宅街は街灯も少なく、人通りもまばらになる。 角を曲がると、見覚えのない路地が目に入った。こんな道、あっただろうか。毎日通っているはずなのに。でも確かに、この路地を抜ければ...
雨の日は、いつもこの道を通らないことにしている。 けれど今日に限って、定期の路線バスが運休していた。迂回路を使うしかない。傘を差し直して、私は薄暗い住宅街へと足を踏み入れた。 細い路地が入り組んでいる。古びた木造の家々が立ち並び、人の気配は...
深夜二時、スマホの明かりだけが部屋を照らしていた。 SNSを眺めていると、フォローしていない人からメッセージが届いた。「お願いです。読まないでください」 意味が分からず、そのアカウントのページを開こうとした瞬間、スマホが一瞬フリーズした。画...
放課後の四時半、私は職員室で採点をしていた。 窓の外はすでに薄闇に包まれている。冬の日は短い。他の教師たちは既に帰宅していて、校舎はしんと静まり返っている。 ふと、廊下から子どもの足音が聞こえた。 小走りで、やけに軽快な足音だ。この時間に児...
あの階段は、いつも誰かが通っている。 北校舎の裏、誰も使わない非常階段。放課後、そこを通りかかると、必ず足音が聞こえる。軽い、女の子の足音。でも、見上げても誰もいない。 最初は気のせいだと思った。風の音か、自分の足音の反響かと。でも、立ち止...
深夜零時を回って、アパートの廊下を歩いていた。階段の踊り場に差し掛かると、微かに水音が聞こえた。滴る音。規則的で、少しずつ近づいてくる。 足を止めた。 音は止まった。 また歩き出すと、また水音。今度は背後から。振り返ると、何もない。ただ、薄...
雨の音が窓を叩いている。 夜の図書館は静かだ。閉館時間はとうに過ぎているが、私は論文を仕上げなければならなかった。司書の田村さんが特別に鍵を貸してくれた。「十二時までには必ず出てくださいね」と念を押されたことを思い出す。 時計を見る。十一時...
廊下の窓 教室棟の三階、階段と体育館を結ぶ廊下に、あの窓がある。 私が気づいたのは、夏休み明けの朝だった。いつもと同じ道を歩いていると、廊下の突き当たりに見慣れない窓があった。磨りガラスで、ちょうど目の高さにある。不思議なのは、その窓の向こ...
窓の向こう側 子供の頃から、窓に近づくのが怖かった。 理由は分からない。ただ、夜の窓には何かがいると思っていた。カーテンを閉めても、その向こう側に何かが立っているような気がして、いつも布団を頭まで被って寝ていた。 大人になって、一人暮らしを...
終電が出た後の駅は、いつもと違う顔を見せる。 蛍光灯の半分が消え、エスカレーターが止まり、清掃員の足音だけが響く。私はそんな時間帯に駅で働いている。 ある夜、最終点検で地下二階のホームを歩いていると、ベンチに女性が座っていた。 「すみません...
夜の図書館で、私は卒論のために閉館間際まで残っていた。三階の奥の書架、誰も来ない古い資料室。窓の外は真っ暗で、蛍光灯の光だけが頼りだった。 ページをめくる音だけが静寂を破る。その時、廊下の向こうから足音が聞こえた。 パタパタと裸足で歩く音。...
最終電車の窓 終電のドアが閉まる直前、彼女は飛び乗った。車内は空いていて、座席に数人の乗客がまばらに座っているだけだった。疲れた会社員、居眠りする学生、スマホを見つめる若者。誰も彼女を見なかった。 窓に映る自分の顔を見ながら、彼女は今日の出...
職員室の灯りが落ちるのは、いつも午後十時を過ぎたころだった。 私が夜間警備のアルバイトを始めてから三週間。この学校にはいくつか妙な決まりがあった。二階の第三理科室には入らないこと。三階の女子トイレは夜八時以降使わないこと。そして、廊下で足音...