2Monday
朝の通勤路をいつもと逆方向に歩いてみた。同じ景色が全く違って見えるというのは本当だった。普段は背中を向けている商店街のシャッターに、よく見ると古い映画のポスターが貼られている。色あせた俳優の笑顔が、何年も同じ場所で誰かを待っているようだ。
角を曲がると、パン屋の前で立ち止まる人の列。焼きたてのバゲットの香りが漂ってきて、つい自分も列に加わった。隣の女性が「このクロワッサン、本当に美味しいのよ」と誰にともなく呟いている。ここの常連なんだろうなと思いながら、私も同じクロワッサンを注文してしまった。
歩きながらかじると、サクサクとした音が耳に心地よい。バターの層が口の中でほどけていく。いつもの駅前のコンビニパンとは全然違う。たった5分遠回りするだけで、こんな発見があるなんて。
公園の脇を通りかかると、ベンチで新聞を広げている老人が一人。その横で鳩が数羽、何かをつついている。老人は新聞から目を離さず、左手で鳩にパンくずを投げている。まるで何十年も続けている朝の儀式のようだった。
駅に着く頃には、いつもより15分遅れていた。でも不思議と焦る気持ちはなかった。むしろ、これが本来の通勤の速度なのかもしれないと思えた。電車に飛び乗る前に、スマホのメモに「来週は違う道を試す」と書き込んだ。
明日はまたいつもの道を通るだろうか。それとも、今日の発見が癖になって、また寄り道をしてしまうだろうか。
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