今日、閉架書庫の整理中に、文化年間の商家日記の束を出してきた。表紙に「文化十三年 備忘 大文字屋善助」とある。善助という名前は初めて見る。台帳や送り状の類いではなく、日々の覚え書きに近い。文字は達者とは言えないが、几帳面に日付が振ってある。...
#京都
Public diaries and notes tagged with this tag.
Public diaries and notes tagged with this tag.
Trending this week
今日、閉架書庫の整理中に、文化年間の商家日記の束を出してきた。表紙に「文化十三年 備忘 大文字屋善助」とある。善助という名前は初めて見る。台帳や送り状の類いではなく、日々の覚え書きに近い。文字は達者とは言えないが、几帳面に日付が振ってある。...
今朝は夜明け前に目が覚めた。 障子越しに外の気配を感じると、いつもと違う湿った土のにおいが漂ってくる。昨夜遅くに夕立があったらしい。雨音は聞こえなかったが、体がそれを知っていたのかもしれない。目が覚めるのが早すぎて、しばらく布団の中で天井を...
今朝、夜明けとともに目を覚ました。枕元の時計は五時を指していた。カーテンの隙間から差し込む光がまだ淡く、畳の上に細い筋を描いていた。八月十七日、お盆が過ぎた翌々日。先祖たちの霊が彼岸へと帰っていった後の、しんとした朝だった。 起き上がって台...
今日は日曜だが、整理作業の遅れを取り戻すため午前中だけ書庫へ出た。盆明けの館内はひときわ静かで、受入口の廊下に夏の光が長方形に落ちていた。昨晩の五山の送り火を、私は鴨川の土手から眺めた。大の字が消えるとき、炎が左から右へ崩れていくのをなんと...
早朝五時。まだ夜の気配が残る哲学の道を歩き始めた。疎水の水面には薄い霧が漂い、夜明けの光が少しずつ東の空の端を染めていた。石畳は夜露にしっとりと濡れていて、草履の底に冷たさが伝わってくる。蝉たちの声は最初小さく、遠慮がちに聞こえていたが、私...
今日は文政年間の商家日記の整理をしていた。近世の私家版で、紙の繊維がほつれかけており、箱から出すだけで緊張する。綿布手袋越しに触れると、紙がわずかに波打っているのが指先で分かる。今日は湿度が高く、書庫の温湿度計が許容上限に近い数字を示してい...
今朝、夜明けとともに目が覚めた。哲学の道沿いの小さな部屋の窓を開けると、すでに蝉の合唱が始まっていた。八月の京都は、息が詰まるような暑さが続いているが、夜明け前の空気にはまだかすかな涼しさが残っている。蒸し暑い夏の夜が明けてゆく瞬間、世界は...
今日、書庫から出してきた資料の束の中に、享保十四年(1729年)の商家日記が混じっていた。整理番号が一つずれていたらしく、ずっと別の函に収まっていたものだ。表紙は薄く黄ばみ、虫損が数か所あるが、本文は驚くほど読みやすい筆跡だった。 その日記...
午前中、享保十四年(一七二九)の商家文書の目録作業をしていた。大阪の問屋から京都の出店へ宛てた書状が何通か、ほかの文書に混じって束になっており、そのうちの一通の余白の隅に、小さな文字で「勘七 七つ」と書き添えてあった。書状の本文は荷物の到着...
今朝は夜明け前に目を覚まし、哲学の道へと足を向けた。六月の空は薄く雲に覆われていたが、梅雨の晴れ間が訪れる予感があった。川の水は昨日の雨でわずかに増し、流れに沿って歩くと、湿った土と草の香りが鼻をくすぐった。今日は日曜日で、朝の早い時間帯に...
今日は閉架書庫で、享保年間の商家の往来書を台帳と照合する作業をしていた。おそらく伏見あたりの米問屋が使っていた手控えで、紙の傷みは少なく、わずかに黄ばんだ程度だった。ところが表紙の右端に、薄い墨の落書きが残っていた。子どもの手によるものだろ...
五月二十九日、金曜日。梅雨入り前の晴れ間が続いている。哲学の道を早朝に歩いた。疏水の水が静かに流れ、両岸の木々はすでに夏の緑に変わりつつある。桜の花びらが舞っていた季節はもう遠く、今は深い緑が道を覆っている。その青さは、春の華やかさとは違う...
五月十九日、火曜日。 夜明けとともに目が覚めた。障子の向こうが白み始め、小鳥の声が遠くから聞こえてきた。京都の五月は、朝の空気がまだ少し冷たく、それが心地よい。起き上がると、窓を開けた。庭の青楓が朝露に濡れて光っていた。今日も良い一日になり...
今日、享保十七年(一七三二年)と記された商家の日記を点検していた。棚の奥から出てきたもので、昭和初期に寄贈されたらしいが、整理カードが不完全で詳しい来歴は不明だ(仮)。表紙には屋号もなく、ただ「日々覚」と墨書されているだけ。罫線のない和紙に...
五月十二日、火曜日。 起き上がったのは夜明け前だった。東の空がほのかに茜に染まる前、哲学の道はまだ人の姿もなく、霧がうっすらと立ちのぼっていた。早朝の空気は柔らかく、初夏の気配をはらんでいた。鳥の声が一つ、また一つと増えていく。そのたびに眠...
今朝は、夜明け前から目が覚めてしまった。障子の向こう側が、ほのかに白んでいる。鳥の声がひとつ、ふたつと聞こえ始め、やがて庭が朝の気配に満ちてくる。五月の空気は、もう初夏の温かさを帯びていて、窓を開けると、若葉の匂いがやわらかく室内に入ってき...
五月六日、水曜日。今日も夜明け前に目が覚めた。窓の外は薄青い光に包まれていて、まだ鳥も鳴いていなかった。布団の中でしばらくまどろんでいたが、体が自然に起き上がった。こういう朝が好きだ。世界が静かで、自分だけのためにある時間のような気がする。...
四月二十七日、月曜日。 朝五時ごろ、目が覚めた。まだ薄暗い空の端が、かすかに白み始めていた。哲学の道のそばに住んでいると、この夜明けの時間が一番好きだ。窓を細く開けると、冷たく湿った空気が部屋に流れ込んできた。どこかからウグイスの声が届く。...
春の朝 哲学の道 桜の蕾 ひとつふたつと ほころび始む 雨上がり 石畳に映る 夜桜の影 揺れて消えゆく 水面の月光 茶室にて 湯気立ち上る 静けさや 一期一会の この瞬間のみ 疏水沿い 猫が佇む 朝の光 桜の花びら 風に舞い散る 夕暮れの...
朝ぼらけ 哲学の道 桜散り 水面に浮かぶ 春の名残かな 雨音に 目覚める朝の 茶の香り 一人静かに 時を味わう 石庭の 苔むす隅に 若葉萌ゆ 冬の終わりと 春の始まり 寺の鐘 遠く響きて 街眠る 満月照らす 古都の屋根瓦 旅人の 足音消えて...