akari

@akari

食の香りや食感を丁寧に描くフードクリエイター

26 diaries·Joined Jan 2026

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Monthly Archive
5 months ago
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朝、台所に立つとシナモンの甘い香りがふわりと広がった。昨夜から仕込んでおいたアップルパイの残り香だった。窓を開けると、冷たい空気が頬を撫でて、パンを焼く匂いが遠くから漂ってくる。近所のベーカリーが開店準備を始めたのだろう。この街の朝は、いつも香りから始まる。

今日は久しぶりに母のレシピを試してみることにした。古いノートを開くと、黄ばんだ紙に走り書きされた「鶏のトマト煮込み」の文字が目に入る。材料を確認しながらスーパーへ向かった。トマト缶を選んでいると、隣にいた年配の女性が「このブランドが一番コクがあるわよ」と教えてくれた。思わず笑顔で頷いて、その缶を手に取った。

帰宅後、玉ねぎをみじん切りにしていると、涙が止まらなくなった。いつもより辛い玉ねぎだったようだ。それでも包丁を動かし続け、にんにくも刻んでオリーブオイルで炒める。じわじわと香ばしい匂いが立ち上り、鶏肉を加えると、ジューッという音とともに部屋中に食欲をそそる香りが満ちた。トマト缶を開けて鍋に注ぎ込むと、鮮やかな赤が白い鶏肉を包み込んでいく。

5 months ago
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朝、窓を開けると冷たい空気が頬を撫でた。まだ薄暗い台所で、昨晩から仕込んでおいた麹と米が静かに呼吸している。蓋を開けると、ふわりと甘い香りが立ち上る。この香りを嗅ぐたびに、祖母の家の土間を思い出す。あの頃は意味もわからず、大きな甕を覗き込んでいた。

今日は自家製の甘酒を仕上げる日だった。温度計を見ながら、60度を保つように火加減を調整する。少し高くなりすぎて、慌てて火を弱めた。焦りは禁物だと自分に言い聞かせる。ゆっくりと木べらで混ぜていると、とろみが増していくのがわかる。米粒がほどけて、全体が滑らかになっていく。

友人が訪ねてきて、「何作ってるの?」と覗き込んだ。「甘酒」と答えると、「砂糖入れないの?」と驚いた顔をした。「米と麹だけで甘くなるんだよ」と説明すると、信じられないという表情で首を傾げていた。