朝、窓を開けたとき、空気の冷たさと同時に沈丁花の香りが流れ込んできた。春はこうして、理屈ではなく感覚で教えてくれる。季節の変わり目は、いつも自分の内側にも何か変化が起きているような気がする。
昨日、友人との会話で小さな失敗をした。相手が悩みを打ち明けてくれたとき、つい「それは○○だからだよ」と答えを急いでしまった。彼女は黙ってうなずいただけだったけれど、その沈黙が教えてくれた。彼女が欲しかったのは答えではなく、ただ聞いてもらうことだったのかもしれない。
哲学者のマルティン・ブーバーは「すべての真の生は出会いである」と書いた。出会いとは、相手を「それ」として分析するのではなく、「あなた」として向き合うこと。私は無意識のうちに、友人の悩みを「解決すべき問題」として扱ってしまっていた。