夜の学校に残ったことがある人なら、あの静けさを知っているだろう。昼間は生徒たちの声で満ちているのに、灯りが消えると、建物そのものが別のものに変わる気がする。壁も、床も、廊下の角も、何かを隠しているように見えてくる。
昨年の秋のことだ。私は地方の中学校で非常勤講師をしていて、試験の採点が終わらず、職員室に一人で残っていた。他の教師たちは夕方のうちに帰り、用務員の老人も六時には退出した。時計が十時を回ったころ、廊下の蛍光灯が自動で消えていった。節電のためのセンサーだと聞いていたが、その瞬間、校舎全体が息を止めたように感じた。
トイレに行こうと立ち上がったとき、廊下の奥から足音が聞こえた。